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日本初のプロ選手で全日本選手権4回優勝の松井千夏が、スカッシュの楽しく奥深い世界を語る
posted2020/12/16 11:00
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph by
Yuki Suenaga
「スカッシュ」をご存知だろうか。四方を壁に囲まれたコートの中で、2人がお互いに同じ壁に向き合い、小さなボールを打ち合うスポーツで、昔はトレンディドラマなどで、主人公がよくプレーしていた覚えがある。
世界で約2000万人の愛好者がいると言われているこの競技で、プロスカッシュプレーヤーとして活躍しているのが松井千夏だ。全日本スカッシュ選手権大会で優勝4度、準優勝9度。2019年4月に出産し、同年9月に復帰すると、直後の全日本選手権で3位に入るなど再び第一線でプレーを続けつつ、競技普及活動も行なっている。そんな彼女にスカッシュの面白さや魅力を教えてもらった。
「スカッシュ」と聞いても、多くの方はまだまだイメージが湧かないスポーツだと思います。
オリンピックの新種目になったら、一気に認知度が上がると思うのですが、東京オリンピックでも選ばれませんでした。最終候補に残って、落選するのはこれで3回目。そもそもイギリス発祥のスポーツなのに、2012年のロンドン大会でも選ばれなかったので、どうしたらいいんでしょうね(笑)。
スカッシュの面白いところは、ボールの跳ね返りを頭でイメージし、予測をすると同時に体を動かすというところ。女性の方だったら日焼けを気にせず楽しめるし、短時間で汗をかけるので忙しい方にもおすすめです。
激しいスポーツだとか、ボールが小さく、速くて見えないというイメージを持たれている方も多いのですが、実際はそんなことはありません。もちろん強くボールを打ったり、速く打ったりすることはあります。でも、イメージ通りの軌道でボールが跳ね返ったり、思い通りのところにボールを打てるようになるのが、スカッシュの楽しいところです。
対戦相手はいるのですが、いかに自分が思い描いたことをコートで実現できるかが大切。スカッシュは自分との戦いなんです。
できなかったときは、どこが悪いんだろうと振り返って、克服できたときは達成感でいっぱいになり、そうするとまた次の課題が出てきて……。個人スポーツなので、喜びも悔しさも、残念なところも全ては自分に跳ね返ってきますが、だからこそ達成できたときのうれしさはひとしお。この繰り返しにハマって、私は20年以上プレーを続けてきました(笑)。