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死闘を制してもイングランドはつまらない? エディー・ジョーンズ「負ければもっと批判される」
posted2020/12/09 11:04
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Getty Images
欧州シックスネーションズ参加国(イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド、フランス、イタリア)にフィジーとジョージアを加えて行われた「オータムネーションズカップ」。この秋限定で開催された大会は、新型コロナウイルス感染者が出たフィジーは4試合中3試合不戦敗となったものの、無事に順位決定戦まで試合を消化することができた。
12月6日に行われたイングランドvs.フランスの優勝決定戦は戦前の予想を大きく覆す“死闘”となった。
フランスは、この秋行った6試合の代表戦のうち「各選手が出場できるのは3試合まで」というTOP14(フランス1部リーグ)との合意を結んでいるため、事実上のBチームといえる若手主体の布陣でイングランドに立ち向かった。昨年のワールドカップで準優勝したメンバーがイングランドの合計キャップ数(代表マッチ出場数)が「772」であるのに対し、フランスはわずか「68」。
経験の差からイングランドの圧勝が予想されたが、気迫をみなぎらせた若手中心のフランスが試合を終始リード。イングランドは試合終了直前のトライとコンバージョンキックで何とか同点に追いつき、先に得点したチームが勝利となるサドンデス形式の延長に突入した。
何とか勝利をもぎ取ったイングランド
「お前たちなら、できる。自分が何者であるか、見せてやれ」
試合後の選手のコメントによると、イングランド代表を率いるエディー・ジョーンズHCの延長戦を迎える前の言葉は、短く、端的なものだったという。80分間全力でテストマッチを戦い、心身ともに疲労困憊の状態にある選手たちに、過剰に複雑なメッセージを伝えようとしても、うまくいかないだろう。選手たちのモチベーションを燃やし続ける僅かな言葉をかけ、あとは普段の鍛錬の成果を信じるのみ。
試合を決めたのは、SOジョージ・フォードのフランス陣ゴール前のタッチライン側にピンポイントで留まる絶妙のキックと、相手への組織的なプレッシャーによるペナルティ誘発。この秋のイングランドの得点パターンとも言えるプレーだった。
この日、再三に渡り簡単なペナルティーキックを外してきたキャプテンのCTBオーウェン・ファレルだったが、この場面ではきっちりと決め、何とか勝利をもぎ取った。