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日々の練習どころか乱闘まで禁止?
MLB7月開幕案に深まる選手との溝。

posted2020/05/24 08:00

 
日々の練習どころか乱闘まで禁止?MLB7月開幕案に深まる選手との溝。<Number Web> photograph by Getty Images

レイズの2018年サイ・ヤング賞左腕スネルは「マウンドに立つとしたら、約束された額を支払ってもらいたい」と給与半減案に反対を表明。

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 こんなご時世だからこそ、明るい話題に希望を持ち、前向きな言葉や方向性は、できる限り否定したくない。だが、切実な現実から目を背けることもできない。多くの人々の生命に関わる問題だけに、米国人にありがちなイージー・ゴーイングだけは避けてほしい。

 米球界の現状を、簡単に表現すると、そんな雰囲気だろうか。

 MLB機構と各球団のオーナー陣が、今季中の開幕へ向けて具体的な開催案を選手会に提示した。6月中旬にキャンプを再開し、米国の独立記念日でもある7月4日(土)前後までに公式戦を開幕するプランで、当面は無観客でプレーする方針を固めた。

 試合数は82試合前後、移動のリスクを極力軽減するためにリーグを問わず、同地区同士の対戦を増やし、全試合でDH制を採用。さらに、出場選手枠をメジャー枠、ベンチ入り選手ともに拡大し、各リーグから7~10チームがプレーオフへ出場するなどの骨子を提案した。

 確かにこれまで不透明だった状況からも、概要だけに目を向ければ大きな進展でもあり、「開幕間近」と言っていいのかもしれない。ただ、機構側が提示した67ページに及ぶ文書の健康・安全面での規制、禁止事項によると、あまりにも非現実的な素案との印象は拭えない。

 開催地を問わず、試合実施を前提にする場合、いずれにしても選手やスタッフの定期的な検温、検査などは避けて通れないだろう。遠征先での外出、タクシーなどの使用禁止など、公の場での規制も、ある程度は仕方ないのかもしれない。

ヒマワリのタネ食べ、乱闘も禁止。

 その一方で、機構側はグラウンド上での振る舞いにも、細かい制約を盛り込んだ。

 ダッグアウトではソーシャル・ディスタンスを維持し、口元に触れること、ツバ吐き、ヒマワリのタネを食べること、ハイタッチ、ハイファイブなど選手同士の接触、室内ケージでの打撃練習、さらに極め付けは乱闘の禁止までを指定した。

 グラウンド内だけでなく、クラブハウス内では、シャワーやサウナの使用禁止など、選手が最も重要視するトレーニングやトリートメント、マッサージなどにも制限を設けた。

【次ページ】 プレーしない人の「上から目線」。

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