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<障害絶対王者の逆襲>
オジュウチョウサン「前代未聞の夢の灯」

posted2018/10/31 15:00

 
<障害絶対王者の逆襲>オジュウチョウサン「前代未聞の夢の灯」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

長山尚義オーナーの事務所にはオジュウチョウサンの優勝レイが並ぶ。

text by

後藤正治

後藤正治Masaharu Goto

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

 障害レース界で圧倒的な強さと人気を誇った王者が、かつて失格の烙印を押された平地に再び挑んでいる。
 視線の先に見据えるのは有馬記念の大舞台。
 閉塞感に包まれる社会で、逆襲の道を走るその姿に人々は魅了され、自身の夢を託すのかもしれない。

 世の風をはらみつつ、競馬界の枠内を超えるような人気馬が登場したことは過去にもある。古くはハイセイコー・ブーム。「芦毛の怪物」オグリキャップの登場も賑やかだった。ともに地方競馬を経ていることに物語性があった。

 近年では三冠馬ディープインパクトであろう。一体どこまで強いんだろうというワクワク感があって、凱旋門賞も勝つのではないかと思わせるものがあった。

 いま、これまでのスターホースとは一味異なる人気馬が登場している。

 オジュウチョウサン。5歳になって本格化し、中山グランドジャンプ、中山大障害などJ・GI 5勝を含む障害9連勝を果たし、「絶対王者」とも呼ばれた。平地への再挑戦を企図し、暮れの有馬記念を射程に入れている。

 格落ちと見られがちな障害で勝ち続け、一転、平地へ戻って最高峰を目指すなどという話は聞いたことがない。

 スタンドからの視線は熱く、毎レース、直線に入ると大歓声が湧く。関連グッズは飛ぶように売れる。久々、新しい形の怪物馬の登場であるが、馬の歩みと意味するものを探ってみたい。

 美浦・和田正一郎厩舎に、小笠倫弘厩舎からの転厩馬、3歳のオジュウチョウサンが入ってきたのは2014年のこと。それまで平地2戦、障害1戦を経ていたが、いずれもいいところなしで敗れていた。4歳となり、和田厩舎で走りはじめて未勝利は脱するが、いまひとつ、ぱっとしない。

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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オジュウチョウサン
長山尚義

競馬の前後のコラム

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