Number ExBACK NUMBER
113連敗ハルウララに会いに行く。
ほしよりこが描くワガママな素顔。
posted2018/10/29 17:30
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
Wataru Sato
113連敗という異形の記録、「負け組の星」という社会が与えた立ち位置、そして「ハルウララ」というカタカナの、負けを受け流しそうなかわいい名前。すべての要素が重なったこの牝馬は、あのディープインパクトと同程度に国民の記憶に刻まれているのではないか、とさえ思ってしまう。
そんなハルウララも現在、22歳になっている。風の便りに存命だというのは聞いていたが、どんな日々を過ごしているのかが気になり、漫画家・ほしよりこさんと一緒に会いに行ってきた。
『きょうの猫村さん』や『逢沢りく』などの作品を世に送り出してきたほしさんは、乗馬が趣味で、これまでにも日本全国の牧場で多くの馬に乗っているという。連載の仕事などで多忙を極めるほしさんにハルウララを描いてほしくて、「会いにいきませんか?」とオファーをすると、「どうしても馬のこととなると惹かれてしまって」という前向きな返事が返ってきた。
会いに行った様子を漫画に。
向かったのは、千葉県・御宿にあるマーサファーム。オーナーから預かった馬の飼育・管理をしつつ、乗馬体験なども行っている小さな牧場だ。
そこで会ったハルウララは元気いっぱいで、もうおばちゃんと言ってもいいほどの馬齢なのにわがまま放題。Numberの秋競馬特集に掲載されているほしさんの漫画「ハルウララは今」は、ダービー馬や三冠牝馬ら「王者」と呼ばれるサラブレッドが登場する誌面のなかで異彩を放ち、あたたかい気持ちにさせてくれるはずだ。
ほしさんの今回の作品を読んでいただければわかるが、いまハルウララはとても幸せそうだ。だが、これまでのハルウララの歩んできた道のりを思うと、個人的にはそれが少し意外だった。