スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
プリンセス駅伝のトラブルを考える。
ルールと連絡体制の再確認が必要だ。
posted2018/10/24 11:15
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
10月21日に開催されたプリンセス駅伝のアクシデントが、波紋を呼んでいる。
まず、出来事を整理しておこう。
・岩谷産業の2区を走る飯田怜が、中継所手前、およそ300mの地点から正常な状態では走れなくなり、四つん這いでタスキをつないだ。
・3区では、先頭を走っていた三井住友海上の岡本春美が、脱水症状のため蛇行や逆走をしてしまい、最終的には途中棄権。
このアクシデントを受け、翌日のテレビでも飯田の競技続行に関しての賛否、インターネット上でも「美談にしてしまっていいものか?」といった議論が起きている。
なにが正解だったかは、正直、分からない。
しかし、駅伝のルールを読み解いていくと、よりよい選択肢があったのではないか――と感じている。
ルールブックの中にヒントがある。
私が気になったのは、審判員が選手をケアしたいものの、動くに動けない様子が映像から感じられたことだ。
「選手に触れてしまったら、そこで失格」という思いが強かったのではないか?
そこで、「日本陸上競技連盟 駅伝競走規準 (2015年3月修改正)」、いわゆるルールブックを紐解いてみた。
この競走規準の「第11条 助力」が今回の件に該当する。3項あるが、次のように記されている。
第11条 助力
1.競技者は競技中、いかなる助力も受けてはならない。
2.人または車両による伴走行為は、いっさい認めない。
3.正常な走行ができなくなった競技者を一時的に介護するために、競技者の体に触れるのは助力とはみなさない。
1項には、「いかなる助力も受けてはならない」と記されてはいるが、重要なのは3項だ。
正常に走れなくなった選手を、一時的に介護するのは認められているのだ。