スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
プリンセス駅伝のトラブルを考える。
ルールと連絡体制の再確認が必要だ。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2018/10/24 11:15
駅伝が大切であれば大切なほど棄権の決断は難しい。だからこそルールの整備が大切になるのだ。
「選手を止める勇気は持てないですよ」
それでも、審判員が選手を止めづらい気持ちは分かる。プリンセス駅伝は「クイーンズ駅伝」の予選会であり、各企業にとって非常に重要な大会だ。それが審判員の一存で中止となった場合、各チームとの間に軋轢が起こる可能性も想定される。ある関係者はいう。
「よっぽどのことがないと、選手を止める勇気は持てないですよ。選手が続けたいという気持ちを示す場合もありますし」
プリンセス駅伝のアクシデントから、何を教訓とすべきなのか。
まずは、一時的な介護は失格にはならないということを、選手も含め、みんなが理解すること。
そして競技続行の判断に関しては、医療関係者の協力を仰ぎつつ、チーム関係者と連絡を取る。
時間はかかるかもしれない。しかし選手の安全に配慮するならば、これだけの運用体制を準備しておくのは決して無駄ではないだろう。