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福西崇史が見たアジアカップの敗戦。
「悪い流れの時、どう修正するのか?」
posted2015/01/30 16:30
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Sports Graphic Number
メルマガ「福西崇史の『考えるサッカー』」、
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!
<目次>
【1】《福西と茂野のキックオフ前? 雑談》
~ オーストラリアの物価と、コンビニ&食事事情 ~
【2】《深く考察、アジアカップ2015 Part.4》勝負で負けたUAE戦(1)
~ “取りどころ”を一致できず許した先制点 ~
【3】《深く考察、アジアカップ2015 Part.4》勝負で負けたUAE戦(2)
~ 流れを変えた柴崎のプレーと、延長戦での暗転 ~
【4】《深く考察、アジアカップ2015 Part.4》勝負で負けたUAE戦(3)
~ “流れが悪くなってしまった試合”の難しさ ~
【5】《アディショナルトーク!》終了間際の反省会&次号予告
~ ポグバがハンパないんです、ポグバが! ~
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【4】《深く考察、アジアカップ2015 Part.4》勝負で負けたUAE戦(3)
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~ “流れが悪くなってしまった試合”の難しさ ~
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――個人的には、本田と香川が外してしまったPK戦も含めて、UAE戦に関しては「不運」の部分もあったのでは? と思います。
福西:それは、どの試合にもついて回るものじゃん? 「不運」で片付けちゃったら、シュートが全部入ったことになって、日本の圧勝になっちゃうよ。
――そう返されちゃうと、返す言葉がないです……(苦笑)。もちろん、そういった状況でも勝ち切るのが本当に強いチームだというのは理解してはいますが、これがもしリーグ戦だったら「流れが悪い中でよくドローに持ちこめたな」という感じなんだろうけどなあ、と。
福西:だけど、日本がUAEと戦った試合は「負けたら終わり」のトーナメント。そこには“たら、れば”はないよ。小さなところで運・不運が積み重なっていくのがサッカーだし、ちょっとの不運があったとしても、それをひっくり返すくらいの運をつかみ取らなきゃいけないんだから。
――うーむ、厳しい。
福西:プロ、特に日本代表は「結果論」と向き合わなきゃいけないんだ。
――「結果論」って言葉が出ましたが、福西さんはジュビロでも日本代表でも色々な修羅場をくぐってきたと思います。で、今回のUAE戦みたいな状況も経験してきましたよね。
福西:そうだね。
――そこで聞きたいんですけど、打つシュートがことごとく決まらないといった“流れの悪い試合”の心の持ちようって、難しかったんじゃないですか?
福西:もちろん。上手くいかない状況のメンタルって、一番難しいところなんだ。ずっと言ってるけど、個人のプレーでも、連携してのプレーでも大事にしなきゃいけないのは「お互いのイメージを一致させること」なんだよね。
――UAE戦で先制点を奪われたところと通じる話ですね。
福西:そう。イメージが一致すればするほど、選手同士が“アイツがこう動くだろうから、オレはこういうプレーをしよう”と考えるし、ボールを奪われるとかミスをしてもすぐにカバーをし合えるとか、協力してプレーできるようになっていく。それを積み重ねることでチーム全体がスムーズに回って、周囲とのコンビネーションに磨きがかかっていく。
――ただ、その流れを防ごうとしてくる相手がいますよね。その戦略にハマってしまった場合……。
福西:例えば、相手が守りを固めてきたとして話をしようか。試合を90分間という長い目で見て、ある選手が「相手をパスで走らせることが、後半に効いてくるはず」と思ってプレーしている一方で、「いやー、リズムが作れない、ダメだな……でも何とかしてゴールを獲らないと」って焦っている選手がいたとする。
――中盤は落ち着いて組み立てたいのに、前線の選手が裏ばかりを狙ってフォローが少なくなってしまう、イメージですかね。
福西:あくまで一つの例だけどね。それぞれの考え方の小さなズレが、実際のプレーでもズレを生んで、相手を疲れさせなければいけないはずなのに、自分たちの方が体も頭も疲れてしまう。それが“流れが悪くなる”原因だと思う。
試合中にどう「プレーのずれ」を修正するか。
――個人のズレが気づかぬうちに、チーム全体のリズムのズレに繋がってしまう。
福西:ピッチに立っている選手だけじゃなくて監督、ベンチにいる選手それぞれが色々な考え方を持っているから、「プレーの目的」が違ってしまうのはあることなんだけど、じゃあどうやって試合中に修正して一致し直すか? というのが問われるんだよね。
――試合中の修正、というのが上手くいかないと……。
福西:チームがバラバラになるし、あとは同じようなプレーを繰り返してしまう。例えば特定のサイドからしか崩さない、中央突破ばっかり狙ってしまうとかね。あとは個人としても同じような質のクロスやドリブル突破を続ければ、その形を相手に読まれてしまって、さらに相手のペースにハマってしまうよね。
――本来持っているはずのバリエーションを、自分たちで減らしてしまっている。
福西:そういうこと。でも結果論に繋がる話かもしんないけど、そういう時に1点入ったら、意外と「ケチャップ」になったりするじゃん?
――ケチャップ……? あ、本田の「ゴールはケチャップのようなもの。出ない時は出ないけど、出る時はドバドバッと出る」って言葉か。
福西:別に説明せんでも、読者の皆さんも分かってくれるでしょ。
――マジメな話してる最中に福西さんがボケてくるから、僕はマジで何のことか分からなかったですよ! 一瞬「ケチャップ」ってサッカー用語ができたのかって思いましたよ。「ゲーゲン・プレッシング」みたいな。
福西:何で「ケチャップ」から「ゲーゲン・プレッシング」って発想になったのよ(笑)。それで“流れ”の話に戻るけど、「2-0は危険なスコア」って言い方もするよね。
――おっ、バラエティ番組でもよく言われる「2-0は危険なスコア」ですね!
福西:茂野くんがボケをかぶせなくていいから(笑)。1-0の時もそうなんだけど、ビハインドの状況でもプレーしてる選手が苦労しながら「どうやって点を奪おう」と考えて、実際に点を獲り返すと勢いが出て、相手に対して一気にプレッシャーをかけに行くことができる。
――結果が出るから、次のプレーにも自信が出る。そういう意味では「結果」というのはものすごく大切なんだなと感じます。
福西:さっきも言ったけど、プロである以上「結果がすべて」だから。サッカーは演技点とかがあるわけじゃないから、最終的にはゴール数ってところでしか判断されない。それが大前提であって、いい流れを作るためには、結果をしっかりと出す。そしていい結果を掴むためには、内容をよくしていくしかないんだ。
さまざまな角度から考えている福西氏。
この続きは、メルマガNumber「福西崇史の『考えるサッカー』」で
ぜひお読みください。