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野球が自由で骨太だった頃の生き生きとした群像劇。
~飛田穂洲・著『熱球三十年』~ 

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馬立勝

馬立勝Masaru Madate

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posted2014/09/03 10:00

野球が自由で骨太だった頃の生き生きとした群像劇。~飛田穂洲・著『熱球三十年』~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『熱球三十年』飛田穂洲著 中公文庫(Kindle版)500円(税込)

『一球入魂』はよく知られる。『練習常善』はどうか。「練習でも手を抜くな、最善をつくせ」との教えだ。ともに飛田穂洲(とびたすいしゅう)の名言……、若い野球選手は知らないだろう。ましてやファンが「誰ですか?」となるのは仕方ない。何しろ長嶋茂雄さんが「飛田先生」と呼ぶ世代の野球人だ。本書はその明治、大正、昭和を生きた「学生野球の父」の回想録、昭和9年(1934年)に出版され、何度も復刊された。

 ひところ穂洲の“精神野球”は否定的に扱われた。穂洲が論陣を張った新聞が、「スポーツは楽しむもの。勝ち負けを離れて楽しめ」などとオリンピック選手をいたわる時代、“野球道”は敬して遠ざけられたのだ。

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