Number Do SpecialBACK NUMBER
<達人が教える山旅> 世界初の女性エベレスト登頂者・田部井淳子 「初心者こそロープウェイで山に行ってみてほしい」
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byAFLO
posted2014/08/26 10:00
駒ヶ岳しらび平駅(1662m)から千畳敷駅(2612m)を結ぶ駒ヶ岳ロープウェイ。
初心者こそ、ロープウェイを有効活用して高い山に登るべき――。
女性初のエベレスト初登頂者が教える、ユニークな楽しみ方。
好評発売中の「Number Do 達人が教える 山旅に行こう。」より、
田部井淳子さんがお勧めする高山の登り方を公開します。
女性初のエベレスト初登頂者が教える、ユニークな楽しみ方。
好評発売中の「Number Do 達人が教える 山旅に行こう。」より、
田部井淳子さんがお勧めする高山の登り方を公開します。
女性として世界で初めてエベレストに登頂した田部井淳子さんは、世界が認める女性登山家の第一人者だ。その田部井さんが初心者にすすめているのが、ロープウェイやバスを使って山へ登ること。「初心者は低山から」という常識を覆す発想の真意はどこにあるのだろう?
若い頃から岩登りや高所登山、海外遠征を繰り返し、第一線の登山家として活躍してきた田部井さんにとって、山とは当然、麓から歩いて登るもの。ロープウェイを使って標高を稼ぐなど、邪道以外の何ものでもないと思っていた。ところが、年老いた母といっしょに山の紅葉を見るバスツアーに出かけたことで、その信念は揺らぎだした。
「若い頃の私は、歩いて登るからこそ山には価値があるんだと思っていました。故郷・福島の吾妻小富士にしても、昔は一日かけて麓から登るのが当たり前だったから、磐梯吾妻スカイラインという道路ができたときも反発する気持ちがあったんです。でも、80歳近くになった母親が紅葉を見たいというので、バスに乗って連れて行ったら、『いいねえ、すごいねえ』って、すごく感動してくれたんですよ。もう窓にへばりつくようにして全山紅葉した山なみを見てました」