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全日本存亡の危機で、看板守った秋山の挑戦。
~新社長就任で馬場イズム継承を~
text by

門馬忠雄Tadao Monma
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/07/13 10:30

新社長に就任した秋山準。当面は資金節約のため横浜市内にある合宿所を事務所にあてる。
創立42周年の全日本が生まれ変わる。故ジャイアント馬場の最後の愛弟子である秋山準が新会社を設立。名称を「オールジャパン・プロレスリング」と変更し、再スタートを切ることになった。
さる6月6日に秋山が会見を開き、6月末の契約満了をもって、全日本プロレスリングシステムズ(白石伸生オーナー)から独立する、と宣言。業界に波紋を投じた。一人の離脱者も出さず、7月1日から全13選手、社員16人とともに再出発した。
猪木・新日本に対抗してきた一方の雄だが、いまの全日本にかつての輝きはない。'00年夏の三沢光晴らの選手大量離脱、オーナーの馬場元子夫人から武藤敬司への政権移行、'13年の武藤グループの退団などがあって、経営体力をなくしていた。
そこで立ち上がったのが秋山だった。
「看板だけは消せない」と全日本存亡の危機をひとりで背負った。この状況で救いなのは、「史上最悪の社長就任になると思います」と冗談を飛ばせる明るさと闊達さが秋山にあることだ。
秋山&諏訪魔のタッグで未知のプロレス経営に挑む。
3冠ヘビー級王座や商標登録の新会社への無償委譲など肝心の全容は、7月4日に馬場さんゆかりの都心のホテルで発表。北海道巡業から帰京した秋山が方向性を示した。
全日本はリング上の戦いでも、激しく揺れ動いた。5月に3冠ヘビー級王者の曙が体調不良でベルトを返上。これを受け、チャンピオン・カーニバルの覇者・大森隆男と秋山が、6・15後楽園ホール大会でベルトをかけて激突した。結果は、大森が得意のアックスボンバーで秋山を倒し、初戴冠を果たす。しかし、その大森は6・29札幌大会で元王者・諏訪魔の必殺ラストライド(2段階式超高角度パワーボム)に沈み、三日天下に終わった。
新王者となった諏訪魔は、「秋山準とは全日本を良くしていく方向で、不思議と意見はぶつからない」と専務取締役に就くことを明言した。188cm、120kgの本格派が後ろ盾になるのは心強い。
諏訪魔とのタッグで未知のプロレス経営に挑む秋山。専修大レスリング部時代に主将を務めた経験から、人を束ねる術は知っている。新しいタイプのトップとしてオールジャパンをどこまで再生できるか。“男”秋山の手腕が試されている。
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