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デュッセルドルフで“雌伏の時”を――。
大前元紀は来季の大ブレイクをにらむ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/02/13 10:30
「毎試合出るつもりで普段からやっていますし、ベンチだったとしても試合に出るつもりでアップしていますから」と衰えぬ闘志を語る大前。
「自分らしさを出していかないといけないなと思います」
もちろん、大前が現状に満足する様子はみじんもない。
「チームに加入してからチャンスがあったので、その中で(スタメンの座を)とれなかったのは悔しいです」と心情を語る。
また、残留争いを勝ち抜くために守備的な戦いを強いられるチームにあって、守備面での貢献度がまだ足りないということも自覚している。
「全部のレベルを上げないといけないのもそうですけど、自分のポジションでは守備を求められると思うので。攻撃だけじゃなくて、守備を意識して戦術もチームがやるべきことをしっかりやった上で、自分らしさを出していかないといけないなと思います」
その意味では、現時点であれこれと騒ぎたてるのは時期尚早だろう。そんななか、今後に期待を抱かせる点がある。それは、彼がチーム戦術に合わせるという以外の面で、遠慮などしていないという事実だ。
日本時代から続けている調整方法をドイツでも継続。
初陣となったアウクスブルク戦のこと。後半24分に出場すると、直後に味方選手がペナルティエリアの手前でファールを受けた。すると、真っ先にボールを奪いに行き、これを蹴ったのが加入したばかりの大前だった。このフリーキックは枠をとらえられなかったのだが、大前はさも当然かのように話していた。
「(ゴールから)近いところのフリーキックは日本でも蹴っていたし、練習試合のときにはフリーキックやコーナーキックを蹴らしてもらっていたので、あの場面も蹴らしてもらいました」
あるいは普段の練習後のこと。
全体の練習が終わると、大前はスパイクをランニングシューズに履き換えて、クラブハウス脇の室内練習場で20分から30分近くランニングをしている。練習後のクールダウンのためなのだが、他におなじようなことをする選手などいない。
「日本でも練習終わったあとジョギングして、ダウンしていたので特別な理由はないんです」