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デュッセルドルフで“雌伏の時”を――。
大前元紀は来季の大ブレイクをにらむ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/02/13 10:30
「毎試合出るつもりで普段からやっていますし、ベンチだったとしても試合に出るつもりでアップしていますから」と衰えぬ闘志を語る大前。
異文化に適応する柔軟さと自己を貫く頑固さが必要。
海外にわたれば、サッカーに対する考え方も、取り組み方も日本とは大きく違うことに気づかされる。だから、ドイツでのやり方に合わせるべきところは徹底して合わせないといけない。
しかし、主張すべき部分では自らの存在をアピールしないといけないし、良いパフォーマンスをするために必要だと思うことは貫かないといけない。すべてを合わせようとすれば、自らが日本で築き上げた実力をしっかり出せなくなってしまう。
今年1月のこと。大前がドイツでプレーしたいと考えるきっかけを作った清水エスパルス時代の先輩である岡崎慎司がこう話していた。
「Jリーガーでこっちに来る選手のなかでも、活躍できる人とそうでない人がいるじゃないですか? こっちに来るからには、みんな実力はある。でも、試合に出れない場合って、持っている力の60%とか70%くらいしか出せていないからだと思うんすよ」
その意味で、自らに求められる役割に適応する努力をする一方で、自らのやり方も頑固に貫こうとする大前のスタイルは、今後の大きなブレイクを予感させる。