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藤浪、大谷の才能を伸ばすチームは?
12球団別、高卒投手の一軍起用法。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/09/19 10:31
今秋ドラフト最大の目玉である花巻東の大谷翔平。最速160キロの本格派右腕として大成が期待されるが、打者としても高校通算56本塁打を誇り、投打ともに超高校級という前代未聞の逸材である。
10月25日に行なわれるドラフト会議まで残り1カ月ちょっとになった。今年の注目選手は春・夏甲子園大会の優勝投手、藤浪晋太郎(大阪桐蔭)と、夏の岩手大会準決勝でストレートが前人未踏の160キロを計測した大谷翔平(花巻東)の2人。
197センチと193センチの2人は上背だけでなく存在感もビッグだ。高校生の目玉選手を濱田達郎(投手・愛工大名電)も入れて「BIG3」と私たちマスコミは呼んできたが、ここへきて違和感を覚えるようになった。濱田がどうこうではない。2人のここへきての成長が、通常の“超高校級”という形容で語れないほど著しいのだ。
ファンの注目は何位で指名されるかではなく、何球団が1位で指名を重複するかにある。藤浪には早くも阪神とオリックスが獲得に名乗りをあげ、東北に拠点を置く楽天は“生まれも育ちも岩手”の地元球児、大谷を是が非でもほしいところ。
各球団、高校卒投手をどのように起用してきたのか?
名前が出なかった中では、巨人が1年浪人中の菅野智之(投手・東海大)に入札することが決定的で、ロッテは東浜巨(投手・亜細亜大)の入札を春先から決めていたふしがある。この2球団と重複指名を避ける傾向のある中日、広島以外の8球団が藤浪と大谷に入札してもおかしくない、それほど2人の評価は高い。
どこか1球団ずつが当たりクジを引いて藤浪、大谷は独占交渉する球団が決まるわけだが、当たりクジを引いた球団が2人の実力にふさわしい球団かどうかはまた話が違う。12球団を対象に、'08年以降のドラフト(育成ドラフトも含める)で獲得した高校卒投手をいかに一軍で起用してきたか検証してみたい。
なお、'08年以降を対象にしたのはこの年から分離ドラフトが統一ドラフトに改められ、即戦力志向か将来性志向か、12球団の特徴が見えるようになったからだ。