野球善哉BACK NUMBER
セ優勝が決まって、ついに見えた!
巨人、中日の次世代ホープたち。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/09/24 12:00
星稜高校時代は1年秋からエースを務めたが、骨折などの不運もあり甲子園経験は無い西川健太郎。初先発となった9月23日の阪神戦で、権藤博コーチは「球速以上に球が来ている。彼の特長がよく出ている」と高く評価していた。
「監督の仕事とは、次のチームに何を残すかや」
そう話したのはプレイングマネージャーも含め4球団で監督を務めた野村克也氏だ。
プロ野球の監督業を知り尽くした野村氏の名言の一つといえる。
巨人が圧倒的な力を見せつけ、セ・リーグを制した。エース内海哲也ら安定した投手陣と若手・中堅・ベテランが上手くかみ合った攻撃陣。3連覇を狙った中日を11ゲーム離してのぶっちぎりの優勝だった。
優勝争いが今なお激しさを増しつつあるパ・リーグとは異なり、「セ・リーグ優勝争いの灯」は消えたということになる。CS進出争いが残されているとはいえ、残り試合の多くが“消化試合”へと向かう。
とはいえ、これからの期間を単に試合を消化するだけの戦いに終わらせてよいはずはない。野村氏の言葉を借りれば、「次に何かを残す」チーム作りにとって、大事な期間でもあるのだ。
巨人は中井大介と大田泰示、中日は伊藤準規と……。
優勝が決まった日の翌日、巨人は伸び悩む2人の若手野手とベテランを入れ替えた。
未来のクリーンアップとして期待のかかる中井大介と大田泰示を一軍でプレーさせ、経験を積ませようとしたのだ。この抜擢が功を奏し、23日のヤクルト戦では大田がプロ初本塁打を放った。
2位・中日も負けていない。来たるCSの戦いを見据えて山本昌を21日の阪神戦で先発させたかと思うと、この二日間では若い二人の投手を先発させたのだ。
驚かされるのは、中日の次世代を目指すチーム作りだ。
ここにきての若手2人の抜擢は、チームとしての未来の明確なビジョンを強く感じさせるものだった。
22日に先発した伊藤準規は将来のエース候補との期待を受ける高卒4年目の本格派右腕。6回2/3を投げて、無失点。1年目にデビューし、2年目に初勝利。3年目となる昨季は2勝と伸び悩んでいた感もあったが、今季初登板でキッチリ勝利をつかんだ。
「下ではまっすぐを磨いてきました。下でやってきたことを、きょうのマウンドにぶつけられたと思います。今季初登板は遅かったですが、次につながる投球ができた。もっとレベルアップしていきたい」と伊藤は自信をつかんだようだった。