カメラマンが語る:スポーツ写真の魅力とはBACK NUMBER

自分なりの写真をどう撮るのか。 

text by

福本悠

福本悠Yu Fukumoto

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photograph byYukihito Taguchi

posted2010/04/08 11:00

自分なりの写真をどう撮るのか。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi
アメリカを拠点に活躍するプロスポーツカメラマン・田口有史。
写真という手法を使って自分をどう表現するか。その極意を聞いた。

「その場の雰囲気を感じ取ってもらえるような写真を撮れたらと思っています。選手がこんな表情をするんだとか、こういう体の動きをするんだとか、テレビでは気づかないような瞬間の姿を見せてあげたいんです」

 アメリカの4大スポーツを中心にプロスポーツカメラマンとして活躍する田口有史は、写真の魅力をこう語る。

「常に流れている時間というものを自分の解釈で止めて、形に残す。これが、写真だと思うんです。だから、自分がどういう写真を撮りたいのか、被写体をどう表現したいのか、いつも考えてます」

 30球団あるメジャーリーグの場合、スタジアムの数、選手の人数も日本のプロ野球とは規模が違う。

「色々な選手がいて、色々な個性が集まってくる。それが、メジャーリーグなんです。同じ選手を撮るにしても、スタジアムによって撮れる絵が変わってくる。ここのスタジアムで、この選手のこんな写真を撮ろうと考えて、狙い通りの写真が撮れたときは、本当にうれしいですね」

“撮影を楽しむ”ことで現場の感動や喜びまでが伝わる。

 球場で撮影をするとき田口が心懸けていることがある。それは“撮影を楽しむ”こと。

「スタジアムに来るお客さんの高揚感や楽しさも写真に写し取りたいんです。そのためには、自分が現場にいることを楽しまないとダメだと思っています。撮る人が楽しんでいないのに、人に楽しさを伝えることはできないと思います」

これからスポーツカメラマンを目指す若者にも、その気持ちを忘れないでほしいと田口は言う。

「今はカメラの性能が高いのでキレイな写真はすぐに撮れてしまうんです。でも、写真という表現方法を選ぶんだから、自分で切り取りたい一瞬を考えて、自分なりの表現を見つけて欲しい。その過程を楽しんでもらいたいですね」

写真 ホームランを放ちダイヤモンドを一周するイチロー。クールな表情と対象的に歓喜のスタジアムの雰囲気が伝わる
両親がハンドボール元日本代表選手ということもあって幼少の頃よりスポーツ好きに育つ。大学進学にあたって、スポーツに携わる仕事をしたいと思い短大の写真科に進学。その後アメリカのスポーツを撮るためにサンフランシスコの芸術大学に留学。在学中からフリーランスとして活動を始める。'98年からは日本にベースを置きながらも滞米日数は年間約150日。100試合以上メジャーリーグを撮影している。

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