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無差別の醍醐味から階級別の精緻へ。
スポーツとして成熟するMMA進化論。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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posted2011/08/14 08:00

無差別の醍醐味から階級別の精緻へ。スポーツとして成熟するMMA進化論。<Number Web> photograph by Getty Images

秋山成勲(右)と対戦したビクトー・ベウフォートは元ライトヘビー級(93.0kg)の王者。ベスト体重から10kg前後も減量し、ミドル級(83.9kg)へ階級を下げ見事TKO勝利。秋山はUFC3連敗を喫した

 現地時間8月6日、アメリカ・フィラデルフィアで開催された『UFC133』のセミファイナルで、秋山成勲が痛烈なKO負けを喫した。

 対戦相手はビクトー・ベウフォート。

 開始直後の間合いの探り合いから一転、ベウフォートがパンチで前進すると、秋山は側頭部に右ストレートを被弾してしまう。倒れこんだところに追撃の連打を浴び、最後は前のめりに失神。

 わずか112秒の完敗だった。

 秋山はUFCデビュー戦こそ僅差の判定勝ちを収めたものの、その後は3連敗。本人は「これから先の事は今は何も考えられません」という書き込みを最後にブログ、ツイッターを休止。引退も選択肢に入っているという。

 ※8月11日、秋山は現役続行の意志を明らかにした。同時にウエルター級への階級変更も決断。

 だが主催者サイドは、デビューから3戦連続でファイト・オブ・ザ・ナイト賞を獲得した秋山の能力を高く買っている。

 ダナ・ホワイト代表いわく「アキヤマはMMAのアルツロ・ガッティ(数多くの名勝負で知られる“激闘型”のボクサー)」。

勝敗を左右する試合当日の「体重差」という見えない壁。

 一方で、UFC首脳陣は秋山にミドル級(83.9kg)からウェルター級(77.1kg)への転向を薦めてもいる。

 確かに、公称177cmの身長は同階級の外国人選手と比べると小さい部類。UFCでの秋山は、対戦相手との体の厚みの差も目に付いた。

 同階級なのにもかかわらず身長以外にも体格差が生じるのは、減量の幅に違いがあるからだ。

 今回、秋山が闘ったベウフォートは、ライトヘビー級でチャンピオンになったこともある選手。

 MMAの世界、特に海外の選手は10kg以上の減量が珍しくない。ミドル級には100kg近い通常体重の選手がひしめき合っていることになる。まして計量は大会の前日。試合までの24時間あまりで10kgのリカバリーも可能だ。

【次ページ】 階級を下げることで勝利を手にした選手は数多い。

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秋山成勲

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