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佐々木朗希「マジ?」NHKが捉えた山本由伸ブルペン入り「球場がザワついたのは18回1死」「大谷翔平は26時就寝→翌日先発」ドジャースWS死闘ウラ話 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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posted2025/11/23 06:02

佐々木朗希「マジ?」NHKが捉えた山本由伸ブルペン入り「球場がザワついたのは18回1死」「大谷翔平は26時就寝→翌日先発」ドジャースWS死闘ウラ話<Number Web> photograph by MediaNews Group/Pasadena Star-News via Getty Images

ワールドシリーズ第3戦、ベンチで会話する佐々木朗希、大谷翔平、山本由伸

 本当に大丈夫だろうか。メディアの間では「ケガをしないか心配だ」という声が絶えなかった。

 当然、私もその一人だった。大谷の「けいれん」は故障の前兆だったからだ。エ軍時代の2023年7月。球宴後に脇腹、両ふくらはぎ、右手中指が相次いでけいれん。結局、右肘じん帯を損傷し、9月には右脇腹を痛めシーズンが終わった。今季も7月30日のレッズ戦で投手復帰7度目の登板で初めて4イニング目に突入したところで右臀部(でんぶ)のけいれんで緊急降板。その後はトレーニング量を調整し再発は免れていた。

 この不安は的中する。1−0の3回1死一塁。大谷が主砲ゲレーロJr.に投じたスイーパーが高めに浮いた。

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「明らかな失投ではあるので、悔やまれる一球だった」

 打球はあっという間に左中間席に達した。

就寝は26時…睡眠時間が短い中での不安

 第3戦から約17時間後のマウンド。大谷は日付が変わった午前0時45分に球場を後にし「午前2時ぐらいにベッドには行った。それなりに睡眠は取れた」というが直球の最速は99マイル(約159キロ)で普段より2、3マイル遅かった。

 前夜は10投手が登板し、第2戦で完投した山本も中1日でブルペンで肩をつくる総動員。中継ぎ投手の負担を減らしたかったからこそ、このように語った。

「7回まで投げ切れれば一番良かった。そこができなかったのが悔やまれる」

 93球、6回0/3を6安打4失点で敗戦投手となり、打者では無安打に終わった。第3戦の走塁中に右脚がけいれんした影響はなかったか。私が試合後の会見で尋ねると、大谷は「脱水症状気味ではあった。睡眠時間が短い中でまたつるんじゃないかと不安はあった」と明かした。

 ただ、初回の第1打席で四球を選び、WS最長記録の11打席連続出塁。試合開始時の気温は29度の酷暑でも6回に様子を聞きに来たマーク・プライアー投手コーチに「あと3回は投げられる」と負けん気だけは失わなかったという。

“本塁打王より休養”の判断は理に適っていた

 この日、けいれんの再発はなく、本人も首脳陣もひと安心したことだろう。思えば、シーズン161試合目のマリナーズ戦を欠場したことがコンディションを整える上で大きかった。当時は3年連続本塁打王へ、ナ・リーグトップのフィリーズの主砲カイル・シュワーバーに2本差に迫る中で「なぜ?」と疑問だったが「PSに向けてという判断。後悔はない」と語っていたことが今になってふに落ちる。

 残りは3試合。この時点で第7戦までもつれれば登板の可能性があり、大谷は「いつでもいけるように準備はしたい」と言った。故障やその前兆には細心の注意を払うことは大前提だが、このまま終わるわけにはいかなかった。〈つづく〉

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