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「えっ、投げるの?」記者もざわついたドジャース山本由伸“伝説のリリーフ登板”真相「すべては第3戦から始まったんだ」敏腕フリードマンの“誤算”とは
posted2025/11/06 17:00
ゲームセットを迎えた瞬間、安堵の表情を浮かべた山本由伸。最後のマウンドを託された重圧を物語るシーンだった
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Gregory Shamus/Getty Images
“そして伝説へ”――名作ゲームのサブタイトルを思わず引用したくなるような山本由伸の見事な活躍だった。
ドジャース、ブルージェイズが一歩も譲らず歴史的な激闘となった2025年のワールドシリーズは、ドジャースのエースがまだ現役ながらにして“レジェンド”になったシリーズとして記憶されることになるのだろう。
第2戦で2戦連続となる完投勝利を挙げた山本は、ドジャースが2勝3敗と王手をかけられた第6戦でも6回1失点の好投で2勝目。この時点でもすでにドジャースが逆転優勝した場合にはシリーズMVPが当確状態だったが、最大のハイライトは天下分け目の第7戦で待っていた。
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延長11回にもつれこむ総力戦となった最終戦。4-4の同点で迎えた9回1死一、二塁から“中0日”で6番手として登板すると、その回の一死満塁、11回の一死一、三塁といった絶体絶命のピンチを凌いで2回2/3を無失点。ドジャースの5-4での勝利を呼び込み、山本はシリーズ4勝中3勝を挙げる魂の投球で2連覇の立役者となった。
実現すべきではなかったリリーフ登板
「みんなが自分のところに来てくれた時は、今までで一番の喜びを感じた。涙も久しぶりにあふれてきた」
3試合で合計17回2/3イニング、全235球を投げた山本の快刀乱麻なしにドジャースの栄冠はなかったのだから、優勝決定の瞬間、チームメイトたちがその周囲に集まってきたのは当然だった。
特に最終戦での登板は、実現しなくても不思議はなかった。いや、本来なら“実現すべきではなかったリリーフ登板”と呼ぶべきか。他ならぬ山本ですら、第6戦で96球を投げ終えた後、“2025年は終わった”と思ったくらいだったのだから。

