大谷翔平の舞台裏:ドジャース異聞BACK NUMBER
ドジャースのコーチ補佐が称賛「細かいところまで徹底している」山本由伸が続ける“自作ノート”にある変化…ルーティーンから分かった「成功のヒミツ」
posted2025/12/23 06:03
独自のルーティーンが山本由伸の成功を生んでいた
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斎藤庸裕Nobuhiro Saito
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Getty Images
ドジャースWS連覇の主役となった山本由伸(27歳)。シーズンを通して投げ抜いた安定感の裏には、機転の利いた山本ならではの“ルーティーン”があった。現地で取材を続ける斎藤庸裕氏が、番外編として「山本由伸の舞台裏」を解説する。
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ドジャース山本由伸投手(27)は伝説的なパフォーマンスで胴上げ投手となり、球団初の2連覇に貢献した。ブルージェイズとのワールドシリーズ(WS)第7戦、5―4の延長11回1死一、三塁から右の好打者アレハンドロ・カークを迎えた。結果は、遊ゴロ併殺打。34球目、最後の1球はここしかないというコースに完璧に制球された。
外角球を右に打つのが得意なカークに対し、シュート気味に沈んでいくスプリットを選択した。一方で、真ん中に甘く入れば長打、最悪は逆転サヨナラのリスクがあった。だが、何度もチームを救ってきた山本は、勝敗を決する場面で制球ミスをしない。要求通りに詰まらせ、理想的な形で打ち取った。負けられない戦いで、勝ち続けた山本。全球種を正確にコントロールする精密さが、他投手との差を生み出す強みだ。
ビジターのブルペンで山本が行った“ある対策”
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試合に臨むにあたり、準備段階で細かい点にこだわる。ドジャースタジアムでは、投手が練習するブルペンにはバッターボックスの白線が埋め込まれている。だが、ビジターとして訪れる敵地では状況が異なることが多い。ホームチーム側には白線がある一方で、ビジター側にはないケースが少なくない。つまり、敵地で登板する投手にとっては、不利が出てくる。だが、そこで制球に誤差が出ないよう、今季から山本は即席で自作の白線を引く対策をとった。

