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角田裕毅の日本GP、レッドブル初レースをどう評価する?「自信を深めることができた」12位完走の鈴鹿に始まる大きな夢の続き
posted2025/04/08 11:00

予選14番手からスタートした決勝は12位完走。望んだ結果ではなかったが、角田の表情に落胆の色はなかった
text by

尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images / Red Bull Content Pool
日本のモータースポーツの聖地とも言える鈴鹿で、師弟が感激の再会を果たした。
F1のトップチームのひとつであるレッドブルに移籍した角田裕毅と、かつてホンダF1復活の立役者の一人となった山本雅史元マネージングディレクターだ。
日本GPが開幕した4月4日の前日、レッドブルのホスピタリティハウスを訪れた山本に、角田はこう言った。
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「鈴鹿で山本さんと会えてうれしいです。F3やF2時代に山本さんと語り合っていた夢が、ようやく実現しました」
F1への伴走者
いまから7年前の2018年の夏、日本でホンダの支援を受けてFIA-F4選手権を戦っていた角田に目をつけたのが山本だった。この年の6月、ホンダはパワーユニットサプライヤーとしてトロロッソだけでなく、19年からレッドブルとも提携を開始すると発表。同時に日本人ドライバーの育成も共同でスタートすることになった。そのドライバー選考を行うためにホンダが白羽の矢を立てたのが角田だった。
ハンガリーで行われたF3の合同テストには現役のF3ドライバーたちも集結。その中で角田は現役F3ドライバーをしのぐ走りを披露し、19年からのヨーロッパでのF3参戦の切符を掴み取り、翌20年にF2にステップアップした。その2年間、ヨーロッパで折に触れて角田にさまざまな助言を行っていたのが山本だった。2人は夢を語り合った。F1ドライバーになるだけでなく、トップチームで走ること。その夢を角田は、今年ようやく叶えた。
だが、今回の移籍を不安視する声も少なくなかった。角田の前にレッドブルのドライバーを務めていたリアム・ローソンが、開幕2戦で実力を出しきれなかったことがドライバー交代の要因となったからだ。24年にレーシングブルズ(RB)で角田のチームメートだったローソンの手に負えないマシンを、角田が操ることができるのかという不安だ。
その心配は日本GPが開幕して、すぐに杞憂だったと判明した。レッドブルの今季のマシン「RB21」のステアリングを初めて握ったにも関わらず、角田は乗りこなして、FP1の60分間のセッションを6番手で終えたからだ。チームメートのマックス・フェルスタッペンとのタイムはほぼコンマ1秒。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も「予想していたよりも、いい仕事をしていた」と角田を高く評価した。