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「小野伸二がまとめた個性派集団」黄金世代は日本サッカー界に何を残したのか? 中田浩二に聞く“本当の功績”「日本代表の進化に少しでも…」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byNumber Web
posted2024/02/01 11:05
小野伸二をはじめ、黄金世代の多くの選手が現役生活に別れを告げた。その一員である中田浩二が語る「功績」と「心残り」とは
――中田さんのようなタイプの選手が、バーゼル(スイス)でリーグ優勝に貢献したことも大きいと思いますよ。
「僕は特別な選手じゃなかったけど、それでも行ってみないとわからない。実際行けば、居場所を手に入れられた。それなりにやれたな、という感触もありました。もし僕を見て挑戦してみようと思える選手がいたんだとすれば、それは嬉しいことですね」
「ドイツのことは心残りがある」
――黄金世代にはさまざまな功績がありますが、今振り返って、「できなかったこと」があるとすればなんでしょうか。
「それは個人それぞれにあると思います。そのなかで大きいものといえば、やっぱりドイツでのワールドカップで、いい成績を残したかったですね。僕ら自身、当時はいろんな経験を積んでいるつもりだったから……。2010年に決勝トーナメント進出ができたけれど、ドイツでそれを達成していれば、日本サッカー界全体がもう少しスムーズな成長曲線を描くことができたのかな、と。単純に、もっとヨーロッパへ行く選手が増えたかもしれないから。当然、日本代表がずっと堅調に成長し続けることはできなくて、上がったり、下がったりを繰り返して、経験を積んでいくんだとは思うけれど……。自分たちが関わった大会だったからこそ、ドイツのことは心残りがありますね」
――これからは黄金世代が現役を離れて、それぞれの場所で活躍していくことになります。そこでも「負けず嫌い」が力になりますか?
「そうですね。やっぱり自分が彼らよりも先に引退するとなったときは、悔しかったですから。今は10年早く引退したからこそ、そのあたりのアドバンテージがあるのかなと思っています(笑)。僕らは本当にいい経験をさせてもらったので、それをサッカー界にどう還元し、恩返ししていくか。指導者もそうですし、僕の場合は経営や強化という面で、いろんな形で日本のサッカーをよりよいものにしていければと思います」
――違う仕事であっても、同世代として互いに意識はしている。
「じつは『79年組』というLINEグループがあるんですよ。24人います。誕生日くらいしか動いていないけれど、伸二が引退するとき、このグループにメッセージを送ってくれました」