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「小野伸二がまとめた個性派集団」黄金世代は日本サッカー界に何を残したのか? 中田浩二に聞く“本当の功績”「日本代表の進化に少しでも…」
posted2024/02/01 11:05
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
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2023年12月17日。横浜のニッパツ三ツ沢球技場で行われた中村俊輔の引退試合には、1学年下の小野伸二、小笠原満男、遠藤保仁、そして中田浩二といった1979-80年生まれの「黄金世代」の選手たちも顔を揃えた。立ち姿だけで、誰だかわかる――小野を中心とした彼らの世代は、それだけ個性に溢れていた。そんな「黄金世代」は、日本サッカー界に何を残したのか。2014年に現役を引退し、現在は鹿島アントラーズで強化部門を担当するフットボールディビジョン・プログループのスタッフとして働く中田浩二に話を訊いた。(全3回の3回目/#1、#2へ)
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なぜ黄金世代の選手たちは個性的だったのか
――中村俊輔さんの引退試合で、中村さんの世代や1学年下の「黄金世代」には、本当に個性的な選手がたくさんいたなと痛感しました。今のサッカーでは、かつてとは「いい選手」の条件は異なるかもしれませんが、なかなか当時のような個性的な選手が少ない。なぜだと思いますか?
「育成面に違いがあるのかもしれないですね。トレセンというシステムがしっかりしたことで、同じような選手が作られる、という一面もあるのかもしれません。もちろん、全体のレベルは間違いなく上がっていると思います。僕らの頃は、今ほど細かく教えてくれる人がいなかったから。とにかく自分で考えてプレーする、トレーニングするという環境でした」
――戦術が重要視されるからこそ、指揮官からの提示や指示を待つ選手が増えている一面もあるのでしょうか。
「そうかもしれませんね。今は指導者が知識を与えて、『こういう局面ではこうする』というのを教えてくれる。だから子どもも『考えなくても大丈夫』という感じで育っているのかもしれない。もちろん、子どもからすれば教えてほしいというのもあると思います。結果的に、プロになっても指示を待ってしまう選手もいる。でも僕らはそれを待っていたら、何もできなかったから。そこの違いがあるかもしれませんね」
――ヨーロッパはサッカーに限らず個の社会だから、戦術で縛っても強烈な個性が飛び出してくる。一方で、日本は指示を待つ文化が社会にも定着していると感じます。