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立浪和義を“落合博満時代の名コーチ”が語る「タツが中日ファンから嫌われているとは思わない」助っ人がまさかの亡命も…立浪政権を検証する
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/01/12 11:01
2023年ドラフト会議時の立浪和義監督(中日)
120万ドル(約1億7000万円)で契約したアキーノが、日本人投手の変化球に苦しんだ。
「私は以前にアキーノをドミニカで見たことがあった。当たれば確かに飛ばすけれども、当たらない確率の方が高いんだから(笑)。日本にやってきてからも、(右打者の)アキーノの場合、インコースに入ってくるような左投手のカーブ系のボールは打てるんだけど、右投手の逃げていくボールに対応できていなかった。もちろん、タツもある程度は覚悟していただろう。キャンプ、オープン戦、そして開幕と我慢して使い続ければ日本の投手にも対応できると目論んでいたはずで、オープン戦ではそれなりに打っていた。だけどオープン戦というのは基本的にルーキーや経験の浅い連中が中心に投げるからね。そりゃあ、打つよな」
助っ人の難しさ…森繁和の提案
アキーノはわずか20試合の出場で打率.154、1本塁打、6打点という成績で帰国の途につくことになった。
「やっぱり、期待の外国人が期待通りの働きをしてくれなかった。それが2年目のタツにとって大きな誤算だった」
つくづく、外国人選手の獲得は博打である。文字通り、「当たるも八卦当たらぬも八卦」だ。そして来日8シーズン目を迎え、外国人枠を使わなくて済むようになったビシエドも91試合に出場して6本塁打(打率.244、23打点)。期待値とはほど遠いシーズンを過ごした。
ドミニカやキューバとのルートを持つ森は、円安を受けて高い年俸の選手には手を出さず、比較的安価な選手を複数、獲得すべきと提案する。
「外国人選手の予算を1億円ぐらいに限定して、年俸3000万円ぐらいの外国人を3人獲得するのはどうだろうか。そのうちのひとりでも活躍してくれたら大当たり。ドラフトで若い選手を獲得するように、外国人選手をファームで育成できるぐらい日本人戦力に余裕があるチームが本当に強いチームだろう。落合(博満)監督時代の中日がまさにそんなチームだったじゃないか」
中日はどんな球団?「立地・ファン」
4球団でコーチ経験があり、監督として中日を率いた経験を持つ森は、「中日ほど恵まれた球団はない」と話す。