プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「少なくとも5人の候補者に断られ…」イチローでも松井秀喜でも工藤公康でもなく…“WBCポスト栗山”侍ジャパン監督問題が迷走するワケ
posted2023/09/24 17:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
世界一の歓喜から6カ月が経過して、侍ジャパンの監督問題が混迷の極みに達している。
9月16日、一部で代表監督への再登板の可能性が報道されたのを受け、栗山英樹前日本代表監督は報道陣に改めて続投の可能性がないことをこう語った。
「そう言ってもらえるのは幸せなことで、ありがたいことではあるけれども、僕は一度きちっと次の世代がやるべきだと思った。(中略)それ(再登板)はあまり考えなくていいと思います」
確かに3月の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)終了後の、次期監督選任は栗山監督への続投要請で始まっている。しかし本人が固辞して続投案は消えた。5月一杯で任期満了となり、6月2日には退任の会見も行っている。そうした経過を考えても栗山監督の再登板は、常識的には考えづらいものだった。それでもそんな報道が流れるのは、まさに混迷する次期監督選びを象徴するものでもあったわけだ。
さまざまな次期監督候補が挙がったが…
栗山監督の続投が消えてから、メディアではさまざまな次期監督候補の名前が挙がっている。
メジャー組からは元シアトル・マリナーズのイチローさんや元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんを筆頭にシカゴ・ホワイトソックス等でプレーした前ロッテ監督の井口資仁さんやボストン・レッドソックスでクローザーとして活躍した上原浩治さんらだ。また国内組からも前ソフトバンク監督の工藤公康さんや前巨人監督の高橋由伸さん、元ヤクルト監督の古田敦也さんや元広島監督の緒方孝市さん、東京五輪の代表チームのコーチを務め現U-12監督の元中日・井端弘和さんらの名前が次々とマスコミを賑わしてきた。
その中で一時は「工藤監督で決定」という報道も出たが、日本野球機構(NPB)は完全否定。実はこのときすでに工藤さんではない複数の候補者と順次、水面下で交渉をしていたが、いずれも就任を断られていたというのが実情だった。
侍ジャパン監督の“ネック”とは
以前にこのコラムでも書いたが、代表監督候補の選任は単純に「野球」という側面だけでは決まらない事情がある。