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ドラフトウラ話…ロッテ&阪神“2位指名”が持つ意味は?「プロ側の『信頼』と『興味』が社会人から独立Lに」…ドラフト全指名を検証する《ロッテ・阪神・オリ編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2023/11/09 11:03
阪神2位指名の椎葉剛投手(IL徳島・183cm92kg・右投右打)
北條史也、山本泰寛……ベテラン内野手が2人抜けたとはいえ、高校生遊撃手の俊英を2人続けて指名。これも、ビックリ。右打ちの打てる遊撃手というタイプも似ているからだ。
3位・山田脩也(仙台育英高)はクセのない流動性の高いフィールディングができて、ショート向き。抜群の強肩を持つが、スローイングがちょっとひっかかる4位・百崎蒼生(東海大熊本星翔高)は、将来クリーンアップも打てるスラッガーだけに、ホットコーナーに。山田、百崎の三遊間という構想なのかもしれない。
盤石に見える投手陣に、さらに厚みを重ねて、強い部分をさらに強くする。本当の意味の「補強」を完了した阪神のドラフトに見えた。
オリックスの“お家芸”「社会人選手ドラフト下位指名」
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【オリックス ドラフト指名選手】
1位 横山聖哉 18歳 内野手 上田西高 181cm85kg 右投左打
2位 河内康介 18歳 投手 聖カタリナ学園高 180cm72kg 右投右打
3位 東松快征 18歳 投手 享栄高 179cm90kg 左投左打
4位 堀柊那 18歳 捕手 報徳学園高 179cm82kg 右投右打
5位 高島泰都 24歳 投手 王子 181cm80kg 右投右打
6位 古田島成龍 24歳 投手 日本通運 175cm85kg 右投右打
7位 権田琉成 24歳 投手 TDK 180cm83kg 右投右打
【オリックス 総評】
そろそろ始まるかなぁ……と思っていたら、やっぱり始まった。
5位・高島泰都投手(王子)が指名された瞬間に、ここから続くな……と確信めいたものがあった。オリックスお家芸の「社会人選手ドラフト下位指名」のスタートだ。
本当はそのすぐ後に、阪神に指名された石黒佑弥投手(JR西日本)も、ソフトバンクが指名した澤柳亮太郎投手(ロキテクノ富山)も、剛球左腕・又木鉄平投手(日本生命・巨人5位指名)も、指名リストに入っていたのではないか。そんな憶測をしているうちに、6位で古田島成龍投手(日本通運)を、折り返しの7位で権田琉成投手(TDK)を指名して、支配下ドラフトを締めた今年のオリックス。
今年もやられたなぁと、私はただのドラフト中継解説者なのに、妙に悔しさのようなものが残ったのだが、他球団のスカウトの中にも、同じような感慨に浸った方がいたのではないか。それほどに他球団はこの「オリックス下位指名社会人選手」に、ペナントレースでやられているのだ。
投手なら、中継ぎの一角・阿部翔太(日本生命、20年6位)に、小木田敦也(TDK・21年7位)、野手なら、西野真弘内野手(JR東日本、14年7位)、山足達也(ホンダ鈴鹿、17年8位)がいぶし銀のスーパーサブとして控え、今年もクリーンアップの一角を担った杉本裕太郎(JR西日本)だって、2015年の10位指名。その年のラスト指名だったのだから、驚く。
今年の3人にしても、決して「隠し玉」なんかじゃない。それぞれに社会人強豪チームの投手陣を背負って、都市対抗などの大舞台でも奮闘していた「腕利き」ばかり。何かが物足りなくて、他球団は外したのだろうが、「オリックスの目」には、それでも「使える何か」が見えているのか。左腕・山崎福也のFA離脱が報じられる中、3人がかりで穴を埋めるのか、それとも、誰かが1人でシレッと埋めてしまうのか。オリックスのドラフトは、「そこ」が楽しみでならない。