1位・度会隆輝（内野手・ENEOS）には、正直、ちょっと驚いた。

　トレバー・バウアーの離脱は最初から計算済みだったかもしれないが、ほかにも、エース・今永昇太の移籍問題、停滞気味の先発投手陣……そんなチーム事情を考えたら、まずは「投手」が妥当だろうと決めつけていた。「在野」にも、それだけの快腕たちもいた。

　フッと重なったのが、2019年の「森敬斗遊撃手（桐蔭学園高）1位指名」。度会外野手同様、地元のスター候補だった。度会外野手も横浜高→ENEOSの看板選手。外向きのエネルギーを発散させて、華やかな雰囲気のプレーーー地元のスター候補は外せなかった。

DeNA1位指名の度会隆輝内野手（ENEOS・183cm83kg・右投左打） ©JIJI PRESS

　報道では「バットマン」だが、度会選手の凄さはプロでも一級品の外野守備力だ。ボールの下に入るスピードに、ライトから三塁返球、本塁送球の敏捷性と精度は、高校時代に二塁手、三塁手をこなした名残りだろう。

　左腕投手の外角ゾーンが見極められるようになれば、俊足だけに内野安打も稼げて、「10年3割」も十分あり得る。

　左打者なのに、左中間に上がったフライがなかなか落ちてこない3位・武田陸玖（外野手・山形中央高）は「投手」で指名されたようだが、私にはバットマンとしての将来性が光って見えて仕方ない。金属バットの高校生で、インパクトの瞬間にバットとボールがひっついて見える打者なんて、私の記憶では、千葉経大附高・丸佳浩（現・巨人）と敦賀気比高・吉田正尚（現・レッドソックス）ぐらいではないか。「天才」だと思う。

　せっかくとび抜けた身体能力を持っているのだから、もっと丁寧な野球をすれば（失礼！）と思うのが4位・石上泰輝（内野手・東洋大）。特にバッティング。打ってヒットになるボールか否かの「選球眼」があれば……。

　6位・井上絢登（外野手・IL徳島）に育成1位・高見沢郁魅（内野手・敦賀気比高）、同3位・小笠原蒼（内野手・京都翔英高）と、ここまで指名した野手が全て「左打者」。しかし、支配下から育成に至るまで、すべてのバットマンたちが「振れる魅力」を持った強打者ばかり。タイミングが合えば、多少バットの芯を外してもスタンドまで持っていかれる。相手バッテリーにとってはこんなに怖い存在はないし、それがプロの打者たちの「矜持」なのだろう。

ソフトバンクは「即戦力性」重視も…高校No.1左腕がドラ1

【ソフトバンク　ドラフト指名選手】

✕　武内夏暉　22歳　投手　國學院大　185cm90kg　左投左打
1位　前田悠伍　18歳　投手　大阪桐蔭高　180cm82kg　左投左打
2位　岩井俊介　22歳　投手　名城大　182cm90kg　右投右打
3位　廣瀬隆太　22歳　内野手　慶應義塾大　182cm92kg  右投右打
4位　村田賢一　22歳　投手　明治大　180cm92kg  右投右打
5位　澤柳亮太郎　24歳　投手　ロキテクノ富山　180cm89kg  右投右打
6位　大山凌　22歳　投手　東日本国際大　180cm78kg  右投右打
7位　藤田悠太郎　18歳　捕手　福岡大大濠高　170cm74kg  右投右打
育3　佐倉侠史朗　18歳　内野手　九州国際大附　184cm103kg 右投左打

【ソフトバンク　総評】

　繰り上げ1位で、日本ハム、楽天、ソフトバンクの3球団の指名が重なった前田悠伍投手（大阪桐蔭高）。

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