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「やっぱりヤクルト高津監督のアイデアはひと味違う…」沖縄でビックリした高卒3年目・内山壮真、異例の起用法「難しい“捕手の育て方”」
posted2023/02/22 11:02
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
JIJI PRESS
ヤクルトスワローズのキャンプの目玉は、「二刀流」の内山壮真だった。
2月19日の千葉ロッテとの練習試合では、4番DHに座った。この打順ひとつとってみても、内山に対する並々ならぬ期待がうかがえる。
内山は入団3年目。
星稜中学時代に軟式で全国優勝を経験しているが、中学時代のポジションはキャッチャーだった。
星稜高校入学後は、1学年上の捕手に山瀬慎之助(現・巨人)がいたこともあり、ショートストップにコンバートされ、第100回記念大会となった夏の甲子園に出場している(いうまでもなく、1学年上には奥川恭伸がいた)。
2年生の時には夏の甲子園決勝を戦い、その年の秋から捕手に戻った形になった。高校3年はコロナ禍で甲子園が開催されない悲劇の学年となったが、2020年のドラフトではヤクルトから3位で指名を受けた。
「あそこで打てる20歳はすごい」高津監督の評価
1年目の4月には一軍デビューという早い出世。その背景には、高津臣吾監督の高い評価があった。
「壮真は野球の理解度が高いですね。すぐにレギュラーというわけにはいきませんが、出場機会は作っていきたいですね」と話していた。
そして2年目の昨季。
もっとも印象に刻まれたのは、日本シリーズ第2戦の9回裏、無死一・二塁の場面でオリックスのクローザー、阿部翔太から放った同点弾だろう。試合後に内山は、
「自分の仕事は山田(哲人)さんと村上(宗隆)さんに良い形でつなぐことだったので、簡単に追い込まれてしまいましたが、食らいついて打ちました。いい角度で上がってくれました」
と謙遜気味に語ったが、この打席には「中身があった」と高津監督は話す。