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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
田中碧の逆転ゴールに中村憲剛は「ああ、やっぱり碧か」 スペイン撃破に貢献した“川崎F勢”に感慨「僕の知っている谷口彰悟が…」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byJIJI PRESS
posted2022/12/05 11:20
スペイン撃破に大きく貢献した谷口彰悟、田中碧、三笘薫。川崎フロンターレで共にプレーした選手たちの活躍に、中村憲剛氏は何を思ったのか
前田のスイッチからの周囲の連動、三笘の迫力のある2度追いで逆サイドの伊東までプレスが継続され、ショートカウンターへ持ち込んでゴールを奪った。チームで積み上げてきたハイプレスというコンセプトに、個人の戦術眼による瞬間的な判断とプレスを実行する能力が最大限発揮されたゴールでした。
「ああ、やっぱり碧か」中村憲剛が抱いた感慨
2点目は同点に追いついたことでスタジアムが騒然となるなかで、自陣でロングボールをうまく収め、そこからのパスワークで崩しました。三笘のクロスは物議を醸しましたが、VARというテクノロジーで確認されたのです。胸を張っていいでしょう。
あの場面では、ペナルティエリアの中に日本の選手が6人侵入しています。まずそれが素晴らしかったですし、そのなかのひとりでボランチの田中が走り込んで決めたことは、個人的に納得できます。
川崎フロンターレのチームメイトだった当時から、得点に貪欲な彼を見てきました。ここぞという場面で、ああやって飛び出していけるスプリント力とタフさ、そしてゴールへの嗅覚が彼には備わっています。「ああ、やっぱり碧か」というのが率直な思いです。
これまで彼は、節目の試合でインパクトを残してきました。2018年9月のプロデビュー戦では、途中出場からプロ初ゴールを決めています。カタールW杯アジア最終予選でも、初出場となったホームのオーストラリア戦で代表初ゴールを蹴り込んだ。今回も「W杯で決めます」と公言して、そのとおりに実現した。ここまでくると「さすが」としか言いようがありません。
スペイン戦がW杯初出場となった谷口も、称賛に値するプレーを見せてくれました。CBとしてタフにプレーすることはもちろん、プレスをかけられても慌てずにいつもの彼らしく、しっかりと相手を見てパスをつないでいった。フロンターレで培ってきたものを、そのまま出してくれました。W杯という特別な舞台に、僕の知っている谷口彰悟がいました。
カタールW杯に選出された26人のうち、Jリーグのクラブに所属しているのは7人です。その7人に含まれる長友、権田、酒井宏樹は、ヨーロッパのクラブでプレーした経験があります。現時点でプロキャリアがJクラブに限られるのは、谷口、山根視来、相馬勇紀、町野修斗の4人です。
スペイン戦の谷口のプレーに、勇気づけられたJリーガーは多いのではないでしょうか。ヨーロッパのクラブでプレーするのはもちろん素晴らしいことですが、Jリーグの選手でも遜色なくパフォーマンスできることを、彼は証明してくれました。フロンターレひと筋でプレーした僕にとっても、あのスペインを相手にした彼の好パフォーマンスはすごく嬉しかったですね。
<後編へ続く>
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