“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER

三笘薫の「1mmアシスト」に反応…田中碧はなぜ救世主になれた? 信頼するトレーナーと目指した“地味なことを正しく100回できる身体”

posted2022/12/05 11:02

 
三笘薫の「1mmアシスト」に反応…田中碧はなぜ救世主になれた? 信頼するトレーナーと目指した“地味なことを正しく100回できる身体”<Number Web> photograph by Getty Images

スペイン戦で逆転ゴールを決めた田中碧。20年からケアを依頼する木下トレーナーに「次は僕がやるよ」と宣言して試合に臨んでいた

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph by

Getty Images

「飛び抜けた特徴もなく、良くも悪くも“普通”なんですよね。でも、こんなにバランス良く筋肉がついた身体は珍しい。ここまで均等に鍛えることはすごく難しいことだと思います。本当に真面目なんでしょうね(笑)」

 スペイン戦で逆転ゴールを決め、一躍ヒーローとなった田中碧(24歳)のことである。言葉の主は、田中の身体を2年半にわたってケアしてきたトレーナーの木下大地(44歳)。柔道整復師の国家資格を持ち、東京・浜田山で整骨院の院長を務める傍ら、個人トレーナーとして数多くのJリーガーやプロゴルファーといったアスリートから俳優や歌手のコンディショニングまで幅広く診る、いわばその道のエキスパートだ。

驚かされた田中碧の向上心

 木下と田中の出会いは2020年の初夏。当時所属していた川崎フロンターレでポジションを掴み、大きな飛躍を遂げようとしていた頃である。この年からチームメイトになった日本代表・山根視来の紹介だった。

「山根くんのことは湘南(ベルマーレ)時代から診ていたので、彼を通して知り合いました。最初の会話から驚かされましたよ(笑)」

 通常、アスリートがトレーナーのもとを訪れる場合、身体のどこかに不具合が生じていることが大半だ。しかし、その当時の田中はケガを一切していないどころか、悪い箇所すら見当たらなかった。木下をまっすぐ見つめて、こうお願いしてきた。

『今までは気にしていませんでしたが、疲れが溜まりやすく、足も攣ることが多いので、そろそろコンディショニングやケアの部分を考えないといけないと思っていました。よろしくお願いします』

 田中の向上心を耳にした木下はすぐに快諾。治療の観点ではなく、まずは予防の観点でケアしていくことを決めた。

【次ページ】 木下さんが気になった“可動域の狭さ”

1 2 3 4 NEXT
田中碧
山根視来
三笘薫
中村憲剛
川崎フロンターレ
デュッセルドルフ
カタールW杯

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ