話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「あのW杯の時と雰囲気が似ている…」現地記者がコスタリカ戦後の練習で感じた変化「“温存”久保に熱視線」「勝つことしか考えていない」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2022/11/30 20:30
現地の28日から練習を再開した日本代表。記者が公開された練習を見ていると…
練習の冒頭、全員で円陣を組み、数分にもわたって森保一監督が選手たちに語りかけていた。そこからコスタリカ戦のスタメン組は、ウォーキングをし、サブ組はランニングの後、通常の練習を行った。
コスタリカ戦に出場した中では、遠藤航の姿が見えなかったが、広報によると右膝痛で試合後病院に行き、この日の練習は取りやめたという。すでに酒井宏樹が左太もも裏痛で離脱している中、攻守の要となる遠藤の離脱は、相当に痛い。とりわけスペインのような相手には、粘り強くガツガツいける遠藤と守田英正のダブルボランチが生命線になる。
あの男が戻ってきた
ただ、隣のグラウンドでは、ある選手がダッシュを繰り返していた。
ドイツ戦後、右太もも裏の違和感で離脱していた冨安健洋だ。ダッシュは足への刺激とともに心肺機能を高めるもの。万全でない状態でダッシュすると、再発する可能性があるが、何十本とこなすシーンからはケガが順調に回復に向かっていることがうかがえる。
最終ラインは、4バックでは、吉田と板倉滉の2センターバックだが、冨安が戻ってくればスペイン相手に組み合わせを変えることも3バックに変更することも可能になる。右サイドバックの酒井が使えない現状を考えると、最終ラインに冨安が戻ってくるメリットは相当に大きい。
取材陣の顔ぶれも大きく変わった
この日は、取材陣の顔触れも大きく変わった。
練習会場には、スペインの報道陣が多数来ていた。「タケ(久保建英)は次のスペイン戦に出るのか」と、レアル・ソシエダでプレーする若きエースの出場の可能性について取材をしていた。久保は、ドイツ戦では低調に終わり、コスタリカ戦では出番がなかったが、スペインのメディアにとってすれば、それは「温存」という風に見ている。彼らは、日本代表の顔写真と名前の書かれたペーパーを持ちながら取材をしていたが、グループステージ最後の大一番に向けて、日本や久保への関心が高まっていた。
敗戦から一夜明け、練習を終えた選手の話を聞いていると、これで終わってしまうかもしれないという悲壮感はない。