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「大学4年間、自分に課した恋愛禁止ルール」“無名選手だった”守田英正27歳が日本代表に成り上がるまで…忘れられない「妻に出会った日」 

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守田英正

守田英正Hidemasa Morita

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photograph byTakuya Sugiyama/JMPA

posted2022/12/01 17:01

「大学4年間、自分に課した恋愛禁止ルール」“無名選手だった”守田英正27歳が日本代表に成り上がるまで…忘れられない「妻に出会った日」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA

コスタリカ戦でW杯デビューした守田英正。高校時代は“無名選手”だったという守田はどんな方法でステップアップしていったのか?

 川崎フロンターレに入団して半年経っても、まだ僕には彼女がいませんでした。

 そんなとき、一回り上の先輩から「おいしい焼肉があるから来ない?」と誘われます。

 僕は焼肉が大好きなので即OKしたのですが、お店に向かう途中で「女性も来るから」と知らされました。「え、聞いてへん。マジか」

 その先輩がある女性を好きになってデートに誘ったところ、先方がダブルデートを条件に出してきたというのが理由でした。

 2人の職業はモデル。華やかな世界に抵抗があった僕は、余計に行くのが嫌になりました。

 嫌な予感は的中します。

 異性とのトーク力が落ちているため、まったく会話が盛り上がりません。

 偶然、もう1人の女性は僕の故郷・高槻市近くの出身で共通点がたくさんありました。

 にもかかわらず、相手から質問されても、僕は答えを1つ返して終わり。たとえば「私、阪急線でよく高槻駅通ってた」と言われても、「俺はJRしか使ってへんかったから、そっちの路線はわからへん」と言う感じです。

 その女性にはっきり言われました。

「こんなおもろない大阪人、おるんや」

 でも、人生何がどうなるかわからないものです。

 この女性こそが現在の妻・れいななんです。

 運命を分けたのは、先輩が狙っていた女性が、先輩を恋愛対象とは見ていなかったことです。彼女は先輩と2人で会うのは嫌だったようで、「またこの4人で集まろう」と提案したのです。

 しばらくグループLINEで連絡をするだけで、れいなとは直接メッセージをやりとりしていませんでした。

 ターニングポイントとなったのは試合観戦でした。

 女性陣2人が試合に来ることになり、初めてれいなから「試合頑張ってください」と直接連絡が届いたんです。

 サッカーのプレーほど、雄弁な自己表現はありません。ここから次第に距離が近づき、おつき合いが始まりました。

 初めて日本代表に招集される1カ月前のことです。

 ブラジルのサッカー界では、勝利をたぐり寄せるずる賢さを「マリーシア」と呼びます。「おもろない大阪人」と苦笑されるのを承知で言うと、モリタ・ヒデマサのずる賢さは「モリーシア」と呼べるでしょうか(書いてるそばから、もう1人の自分が「恥ずっ!」とツッコミを入れてきました)。「モリーシア」はサッカーと競争において最強の武器ですが、残念ながら女性との駆け引きには使えませんでした。

 まあ、こうやって「ずる賢さ」が完璧じゃないところも、自分らしいと思っています。

<続く>

サッカー日本代表・守田英正(27歳)の自著『ずる賢さ」という技術 日本人に足りないメンタリティ』(幻冬舎)。全国的には無名の高校生だった守田は、流経大から川崎フロンターレ、そしてポルトガルの名門クラブへといかにステップアップしていったのか? “勝つためにやってきたこと”を明かす(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

守田英正(もりた・ひでまさ)

1995年5月10日、大阪府生まれ。金光大阪高から流通経済大に進み、2018年に川崎フロンターレ加入。1年目から定位置を確保し、2度のリーグ優勝に貢献。2021年にポルトガルリーグのサンタ・クララに移籍。2022年に同国の名門クラブ・スポルティングへ。2018年9月に代表初招集され、2021年に定着。日本代表17試合出場、2得点。177cm、74kg

#2に続く
「オレが一番ヘタや!」日本代表・守田英正が明かす「4年前、“第一志望”地元のガンバ大阪ではなく、フロンターレをあえて選んだ理由」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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