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三笘&伊東を活かすなら南野拓実が必要なのでは?「絶対に見返してやる」2試合連続ベンチスタートの“10番”はスペイン戦で主役になるか
posted2022/12/01 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
悪夢の瞬間だった。
カタールW杯グループリーグ第2戦のコスタリカ戦。スコアレスで迎えた81分、日本のミスが幾重にも重なってボールがコスタリカ代表DFケイセル・フレールに渡ると、左足で放たれたシュートがGK権田修一の伸ばした両手を弾いてゴールに吸い込まれていった。
ピッチサイドで交代を待っていた南野拓実は思わず天を仰ぎ、大きな叫び声を上げた。
スコアレスから試合を動かすために投入されるはずが、目の前で先制点を決められた。窮地に追い込まれた瞬間をピッチの外で見つめることしかできなかった悔しさが溢れ出たのだろう。常に表情を変えないでプレーをする南野が、ここまで感情を露わにするのは久しぶりに見た気がして少し驚いた。
「何が何でも巻き返す」という思いで、顔面蒼白の味方に檄を飛ばしながらピッチに走っていく。しかし、南野に与えられた時間は残り8分とアディショナルタイムだけ。87分には鎌田大地のパスを引き出してペナルティーエリア内で受けるが、シュートまで持ち込めず。ちぐはぐさが目立った試合展開そのままに、タイムアップの時を迎えてしまった。
「絶対に見返してやると思っています」
「切り替えないといけない。まだグループリーグ最終戦で突破を決められるチャンスにあることは間違いないので」
過ぎてしまったことを悔やんでも仕方がない。そう自分に言い聞かせながら、南野はスペイン戦に向けて顔を上げている。
「自分ではどうすることもできない状況はどの人間でも必ずある。そこで頭を悩ませたり、自分を追い込んでしまうのではなく、『それはどうしようもない』と割り切ってプレーする。それに自分が悔しい思いをしていることは紛れもない事実だからこそ、『見返してやる』という気持ちは常に持っているし、それを自分のプレーで表現しないといけないと思っている。今は自分の中で燃える材料、気持ちがたくさんあって、『絶対に見返してやる』と思っています」