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「冨安を試合に出さないでくれ…」「本当にまだ4年生?」“スーパー小学生”だった冨安健洋(24歳)…恩師に聞いた小中時代のスゴい伝説 

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栗原正夫

栗原正夫Masao Kurihara

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posted2022/11/20 17:04

「冨安を試合に出さないでくれ…」「本当にまだ4年生?」“スーパー小学生”だった冨安健洋(24歳)…恩師に聞いた小中時代のスゴい伝説<Number Web> photograph by Getty Images

カタールW杯で日本代表の中心選手として期待される冨安健洋(24歳)。その小・中学時代の“伝説”をそれぞれの恩師に取材した

「それなら僕が走ります」“1人カウンター”で猛然ドリブル

 アビスパ福岡ジュニアユース時代の恩師である宮原裕司さん(42歳)は、冨安は言葉での主張が少ないぶん、何事も行動で示すタイプで、試合中であればプレーで示すのが「冨安流」だと話してくれた。

「試合中に誰かがサボっていても、それを口で言う前に『それなら僕が走ります』って。たとえば、中3のある試合でこんなことがありました。自陣でのCK、冨安は自分でヘディングでクリアすると、そのボールを自分で拾って、猛然とドリブルして1人カウンターを仕掛けるわけです。最後はシュートまでいって。結果的に決まらなかったんですけど、また“それなりのスピード”でダッシュして自陣に帰るんです。それを見たときに、運動能力が優れているのはもちろん、やっぱり勝ちたい気持ちが人一倍強いんだなと感じました。

 練習でも一切の妥協がなく、たとえば1キロ4分で7kmのペース走をやって心拍数を測ろうとしたとき。冨安はいきなりMAXで1キロ3分30秒で帰ってきて『ダメですか?』って聞いてくるわけです。そう言われるとこちらもダメとは言えないし。そうやって周りの能力を引き上げてくれたところもありました。練習前の準備やアップもいつも真剣ですし、彼の辞書には『嫌とか、面倒くさい』って言葉がないんじゃないですか」

「帰国すると必ず小学校の練習に顔を出す」

 さらに、辻さんが「あんな律儀なやつはおらんでしょ」といえば、宮原さんは「あんな義理堅いやつはいない」という。

 辻さんは「もう自分からタケに連絡することはない」と話すが、今もコーチと冨安は連絡を取り合っていて、ヨーロッパに移籍してからも帰国時は必ず三筑キッカーズの練習に顔を出してくれると喜ぶ。

「アビスパにいた頃も、自宅が近かったことでウチが練習をやっていると、すっと入ってきてよく一緒に子どもたちとボールを蹴っていました。

 日本代表になったいまでも、それをひけらかすようなところは一切ないですし、練習に顔を出してくれるときもタケから子どもたちに何か教えるというより、子どもたちがタケを質問攻めにしている感じです。子どもたちは『タケ、タケ』なんて親しみを込めて呼び捨てにしていますが、タケは楽しそうにしていますよ(笑)」

「遅れてすみません!」タクシーで二次会に

 宮原さんは、10年以上前から出身地である福岡県北九州市で現役Jリーガーや引退したプロ選手30人ほどを招いたサッカーイベントを毎年開催している。子どもたちとプロ選手が交流する場を作り、地元のサッカーを盛り上げられればとの思いから始めたイベント。冨安もプロ入り前の高校生の頃から招待し、これまでに3回ほど参加しているという。

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