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金メダル最有力・小林陵侑(25)はどこがスゴいのか? あの船木和喜と同じ“黄金ルート”で挑む北京オリンピック

posted2022/02/04 17:00

 
金メダル最有力・小林陵侑(25)はどこがスゴいのか? あの船木和喜と同じ“黄金ルート”で挑む北京オリンピック<Number Web> photograph by Getty Images

飛距離に加え、空中での美しい飛型も小林の持ち味。ジャンプ週間4戦の平均飛型点は55.625点の高水準だった

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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 日本ジャンプ界のエースが北京五輪へ向けて弾みをつけている。ノルディックスキージャンプ男子の金メダル候補、小林陵侑(土屋ホーム)が今季で70回目を迎えた「ジャンプ週間」で日本人史上初となる2度目の総合優勝を飾った。

 ジャンプ週間は1979年に始まったW杯よりも四半世紀以上前の'53年にスタートした伝統の大会。年末年始を挟んでドイツとオーストリアで全4戦が行なわれ、総合点で順位が決まる。今回、小林は4戦中3勝。初優勝した2018-'19シーズンに続く4戦全勝とはならなかったが、ジャンプの盛んな欧州では五輪以上の盛り上がりを見せる大人気イベントとあって、4戦の賞金約600万円のほかに、総合優勝ボーナス約1250万円が小林に渡された。

「伝統の重みを感じる試合なので、すごくうれしい。1週間安定したパフォーマンスをすることができた」

 総合王者の証である黄金の鷲のトロフィーを抱え、貫禄を漂わせる。

メンタルの強さと“抜群の対応力”

 度重なる“アクシデント”を乗り越えての偉業達成だ。今季はW杯開幕第2戦でスーツの規定違反による失格を言い渡される不測の事態。11月下旬には新型コロナウイルスの陽性反応が出て10日間の隔離生活を余儀なくされ、W杯2戦を欠場した。

 それでも急遽調達した20kgのおもりをホテルに持ち込み、日本代表トレーナーにオンラインでつなぎトレーニングを継続。無症状のまま隔離期間を終えてからは「イライラすることが多かった」という言葉とは裏腹にメンタルの強さを見せた。

 踏み切りがうまく、空中に飛び出すや否や一瞬にして飛行姿勢を整えることができる。ジャンプ台の特徴をいち早くとらえ、気象条件などへの対応力も抜群だ。

 出場が内定している北京五輪は小林にとって2度目の大舞台。初出場だった平昌五輪はノーマルヒル個人7位、ラージヒル個人10位だったが、今回は実力も立場も前回とは大きく異なる。'97-'98シーズンに日本人初のジャンプ週間総合優勝を果たした船木和喜は、その勢いのまま'98年2月の長野五輪に臨み、ラージヒル個人と団体で2冠を達成し、ノーマルヒル個人でも銀を獲得した。ジャンプ週間総合優勝は五輪へ向けて吉兆に他ならず、小林への期待も大いに膨らんでいる。

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