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交代2枚残しで完敗「オマーンに勝てる要素はゼロ」…なぜ森保ジャパンは90分間で軌道修正できなかったのか?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/09/03 17:02
最終予選の開幕戦でオマーンに敗れた日本代表。この敗戦は極めて重い
後半開始直後には長友佑都のクロスから伊東がヘディングシュートを放ち、ゴール左上を襲ったボールを相手GKがかき出す。55分には右サイドバックの酒井宏樹のクロスに、大外と呼ばれる一番外側からゴール前へ入り込んだ長友が頭で合わせた。
63分にはふたり目の選手交代が行なわれる。伊東に代わって堂安律が投入された。70分には鎌田大地が退いて久保建英がトップ下に入る。
2列目の3人を入れ替えてゴールをこじ開けようとするが、相手の目線を揺さぶることはできない。堂安と久保に大迫勇也や酒井が関わり、右サイドに人数をかけて崩そうとするが、イバンコビッチ監督が「日本はスモールサイドでのプレーが多い」と話したように、オマーンにとってはスカウティングの範囲内である。
堂安や久保が登場した直後は変化が見えたような印象もあったが、オマーンが時間を置かずに順応していったことで、得点の気配は漂わなかった。攻撃時に大外が空くのは前半から見られた傾向だったが、それがチームの狙いとして徹底されることもない。自分たちがやりたいことと相手の守りかたがハマったこともあって、日本は突破口を見出せなかった。
カード2枚残し…システム変更はできなかったのか?
0対0で推移していくなかで、交代カードは2枚残っていた。しかし、アタッカーはケガを抱える南野しかいない。攻撃的なカードは最初から3枚しか手元になく、選手交代による変化は久保を送り込んだ時点で尽きていた。サイドバックが6人招集されている一方で、FWが2人だけだったことが足かせとなってしまったのである。
この日のようなロースコアの攻防では、リスタートは突破口になる。しかし、CKやFKにデザインされたものは見られず、ゴールを直接狙える位置でのFKは獲得できなかった。
ならば、システム変更はできなかったのか。
3-4-3や4-3-3をスポットで採用してきたが、オプションと呼ぶには至っていない。この日のメンバーなら大迫と古橋を2トップで並べることも考えられたが、そこまで準備をする時間はなかったか。
結果的に、いつもどおりのメンバーが、いつもどおりの立ち位置を取った。2次予選の相手なら、それでも押し切ることはできたかもしれない。しかし、最終予選である。オマーンは日本から見れば無印の集団に過ぎないが、「個」で局面を打開できる選手はいた。推進力のある両サイドバックをどうやって止めるのかについては、最後まで答えを見つけられなかった。この日の日本はオマーンにとって分析しやすいのはもちろん、対応もしやすい相手だったに違いない。