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スペイン「ペドリでもアセンシオでもない」最も危険だった選手…中西哲生に聞く“敗戦は避けられなかったのか? ”
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2021/08/05 17:05
優勝候補スペインと対戦した準決勝。日本の敗戦は避けがたいものだったのか?
代わって出場した前田大然と三好康児は、際どいシーンに絡んでいきました。前田は延長前半に、相手CBの間に入り込んでヘディングシュートを放っている。彼らのパフォーマンスは悪くなかったでしょう。
私自身は「相手の立場になったらどうか」、という視点で見ていました。
日本にとって最も危険だったのは「背番号11」
スペインのデ・ラ・フエンテ監督は、後半開始に右サイドバックのオスカル・ヒルを、59分にインサイドハーフのミケル・メリノと左ウイングのダニ・オルモを、84分にはもうひとりのインサイドハーフのペドリを下げました。注目度の高かったダニ・オルモとペドリの交代は、少なからず驚きをもたらすものでした。
ただ、この試合に関しては、ダニ・オルモの左サイドがあまり機能していなかった。連戦による疲労もあったのでしょうし、対峙する酒井宏樹がしっかりケアしたと言うこともできます。ペドリも計算されたポジションでボールを受けていましたが、決定的な仕事はできていなかった。
0対0で突入した延長前半の97分に、デ・ラ・フエンテ監督は5人目の選手交代をします。アンカーのマルティン・スビメンディを下げました。4-3-3の中盤3枚と左ウイングのダニ・オルモが、ベンチに退いたことになります。
言い方を換えると、デ・ラ・フエンテ監督は右ウイングのミケル・オジャルサバルとCFのラファ・ミルを残した。60歳の指揮官の判断は、非常に論理的だったと感じます。日本の守備陣にとってもっとも危険な存在が、オジャルサバルだったからです。時間の経過とともに消耗が激しくなっていくなかで、背番号11を着ける彼はひとりでふたりを剥がすぐらいのエネルギーがあった。日本の守備陣をカオスに陥れるのは彼で、この試合唯一の得点にも絡んでいます。
スペインの決勝点は右サイドのスローインを起点にしていますが、これはオジャルサバルの仕掛けがもたらしたものでした。決勝点をあげたアセンシオに、パスを出したのも彼です。
スペインが“最も警戒する選手”は誰だった?
ひるがえって日本の攻撃陣で、スペインが警戒する存在は誰だったのか。