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<特別インタビュー>桃田賢斗「すべての情熱を注ぐ覚悟で」
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/06/25 06:00

試合に出られるありがたみや周囲の支えを感じ、己と真摯に向き合った時間が、彼をひと回り大きくした。
「応援しすぎで、喉が嗄れてしまって」
まぶしい緑に囲まれた東京都内の体育館。インタビューに現れた桃田賢斗の声はかすれていたが、笑顔は晴れやかだった。5月20日から27日までタイ・バンコクで行なわれたバドミントンの男子国別対抗戦、トマス杯で第1シングルスとして全6試合に勝利し、日本を準優勝に導いていた。
「中学時代から団体戦がすごく好きです。応援されるといつも以上の力が出ますね。今回も150%くらいの力が出ました」
初代表となった2014年トマス杯、男女混合国別対抗戦の'15年スディルマン杯、そして今回。桃田は団体戦にめっぽう強く、出場した全試合で勝利を収めている。
「ここまで来たらずっと(連勝を)狙っていきたいですね」
強気な姿勢も少しずつ戻っている。
この2年間は激動の日々だった。
'16年4月に違法カジノ店での賭博問題が発覚。日本バドミントン協会から無期限の試合出場停止処分を受け、メダルの期待が高かった'16年8月のリオデジャネイロ五輪に出場できなかった。昨年5月に処分が解除され、同月の日本ランキングサーキットで涙の公式戦復帰を果たした。そして、そこから1年が過ぎた。
昨年12月にナショナルA代表に復帰したこともあり、今年は規模の大きなトーナメントにも再び出るようになっている。冬場には左足首の捻挫で苦しんだが、ここにきて4月のアジア選手権で日本人初優勝、5月のトマス杯でも世界ランク上位の強豪を次々と撃破した。周囲の人々の想像を超える大活躍で以前を上回る強さだとの声が上がっているほどだ。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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