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元フェアリージャパンの畠山愛理が
新体操を通じて学んだ美しさ。

posted2018/12/11 11:15

 
元フェアリージャパンの畠山愛理が新体操を通じて学んだ美しさ。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph by

Kiichi Matsumoto

6歳で新体操を始め、ロンドン、リオと2度のオリンピックに出場した畠山愛理。均整のとれた美しい肉体と、愛らしい顔立ちは、現役を引退した現在も多くの人を魅了している。そんな彼女が競技生活のなかで学んだ女性らしさ、美しさとは何かを聞いた。

 ロシアで練習するようになって、新体操においての美しさへの考え方はガラッと変わりました。

 お国柄もあると思うのですが、日本の新体操は正しく丁寧にきちんとやる、ミスをしないよう、落下をしないように気をつけるという印象。そのため、練習はひとつひとつ丁寧にやっていくことを求められていました。それに対して、ロシアはもっと芸術的な面を重視していて、見ている人に何かを伝える、伝わる演技をするということが大事。練習はすごくテンポが速いし、最初から最後まで通しでやるような練習が多かったです。自分がどういう顔をするのか分かっておく必要があると、鏡の前で何度も表情の練習をすることもありました。

“あなたたちは女優なのよ”、“恋愛をしなさい”と言われることも多かったですね。恋をしたことのない人が、恋愛の演目で表現するには限界がある。恋愛に限らず、感受性を豊かにした方が人を魅了する演技につながるのだと。だから、日本では考えられないけど、海外の選手って恋人との写真をSNSにどんどん載せてるんですよ(笑)。

「いつでもメイクをしていなさい」と言われたのも驚きました。すごく汗をかくので、日本だと練習ではみんなノーメイクが当たり前。でもロシアではいつでもメイクをしてきれいにしていなさいって言うのです。もちろん練習で汗はかくので、とりあえず目鼻立ちだけはよく見えるように、薄くメイクをするようになりました。

何でもチャレンジしてみること。

 全然先を考えないで引退をしてしまったので、この2年、色々なことを経験させていただいて新たな発見がたくさんありました。

 元々、あまり自分に自信を持てないタイプで、踏み出す前に色々考えてしまいがちなんです。

 写真集が出るのですが、最初にお話をいただいたときは、正直全然前向きになれなくてお断りしました。写真集ってモデルさんやアイドルなど美しい方が出されるもので、アスリートの自分にはふさわしくないって。でも、子供たちへの講演で、夢についてや、自分がどういう道をたどってオリンピックにたどり着いたか、という話をしたときに、今の自分は決めつけるだけで、何も踏み出していないのではないか、って気づいたんです。子供の頃のように何でもチャレンジしてみることが大切なんじゃないかと思って、受けることにしました。実際に撮影に行ったら、すごく楽しくて。踏み出す勇気って大切だなと実感しています。

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