Column from GermanyBACK NUMBER
堪忍袋の緒が切れそうだ。何とかしてくれ、クリンスマン!
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byGettyimages/AFLO
posted2005/10/20 00:00
えぇ加減にせえよ、ホンマ!こんなんでアンタら、本番に勝てると思っとるんか?アホ!なんとかせんかい!(大阪弁だと迫力があるなぁ)
トルコ戦でいいところなく負け、4日後の中国戦で何とか勝利した代表チーム。2試合とも散々な内容だった。中国戦はカーンのスーパーセーブ連発がなかったら負けていただろう。
「これがW杯を主催する国の代表チームなのか」と、あまりの体たらくにいまや全国のファンの怒りが頂点に達している。
批判の矛先はクリンスマンに集中する。問題となっているディフェンスの強化で解決策を見出せず、GKローテーション制も変える予定がない。あと8ヶ月。それなのに体制固めがまったく出来ていないのだ。
アメリカ文化の強い影響を受けるクリンスマンは、競争原理と合理主義に理想を追い求めている。リーグとCLの真っ最中で選手がヘトヘトに疲れている日を選んでアメリカから連れてきたトレーナーによる体力テストを実行、うるさいだけのクラブ監督やマネジャーと対話の機会を積極的に持とうとしない、そして「みんなが彼にアドバイスしたがっている。でも彼は誰のアドバイスにも耳を傾けない」(ベッケンバウアー)姿勢には疑問符が付く。大企業のCEOよろしくトップダウンで決断を下すのを信条としているのだろうが、これではあまりにドイツ人気質を無視しているのではないか。
彼のライフスタイルも槍玉にあがる。カリフォルニア在住で、母国に戻るのは試合がある数日間だけ。中国戦では翌日の午前10時半出発の飛行機に乗ってさっさと帰ってしまった。3日後にはシャルケ04対バイエルンの天王山がある。代表チームの半数が出場する大きな試合なのに、そんな事情もお構いなしだった。クラーニィは「クリンスマンと直接話がしたかった。ボクの悩みを聞いてもらいたかったのに」とこぼした。
アメリカと欧州は、浪花節的な情緒と文化でかなりの違いが見られる。すっかりアメリカナイズされたクリンスマンのスローガンは「世界一になること」だ。まさかワールドカップとワールドシリーズを混同しているわけはないだろうが…。