博多の人・王貞治BACK NUMBER
「お前、監督の椅子を蹴るとは!」「蹴ってないですよ!」ホークス城島健司と王貞治の“大騒動”の真相「俺、王さんに当たられた唯一の男です(笑)」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byNaoya Sanuki
posted2026/08/07 06:01
打力に秀でた城島(左)を一塁やDHにという案もあったが、王(右)はあくまで城島を捕手として使い続けた。王を師と慕う城島が若き日に巻き起こした「騒動」とは
城島の芽を潰さないために
「これで僕を2軍に落として、罰みたいにしたら、若い城島健司という選手が終わってしまう。だから、何も言うなと。ホントだったら、こんなクソ若造、ハタチそこそこのヤツと揉めたら『お前、2軍だ』っていうのが当たり前の世界ですよ。でも、後から聞いたら、城島をあれで2軍に落としたら、チームの中でも浮いてしまって、すごい才能のある選手の芽を潰してしまうと。
僕は言われたとき、その意味がよく分からなかった。でも、今までいろいろな監督と一緒にやってきましたけど、名将って言われる監督って、俯瞰で見ているというんですかね。非情にもならないといけないし、現場と近くなりすぎてもいけない。監督っていうのは、多分そうだと思うんです」
厳しさと愛情、優しさのバランスだろう。監督に歯向かった、騒ぎを起こした。組織の秩序としては、城島に厳罰が下ってもおかしくない。実は試合後、王より2歳年上の助監督だった黒江透修が、ロッカーにいた城島のもとへやって来て「2軍落ち」を告げている。組織の秩序という点では、黒江の“先走り”は決して間違ってはいない。
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それを、なかったことにして事態を収拾するのも、組織の長の度量でもある。
王に当たられた唯一の男!?
城島は、王の野球人生を辿るべく、これまで関わってきた関係者やプロ野球OBたちを訪ね歩き、直接インタビューしているのだが「ジャイアンツ時代に、王さんが人に当たったことって、一回もないらしいです。モノには当たったことあるらしいんです。ベンチ裏のベッドとか、ぐわーんと投げたことはあるらしいんですけど、胸倉をつかんで殴ったとか、っていうのは一切なかったらしいんです」。
だから、時が経てば、妙な自慢に変わる。
「俺にだけ椅子を投げたんです。で、俺の足の親指に当たりました。俺の自慢。唯一、王貞治に椅子を投げられた男です。うはははははー」
そうした幾多の経験を重ね、たくましく成長した愛弟子は1999年、135試合すべてにマスクをかぶり、初のベストナイン、初のゴールデングラブ賞を獲得している。
〈つづく〉

