博多の人・王貞治BACK NUMBER
「お前、監督の椅子を蹴るとは!」「蹴ってないですよ!」ホークス城島健司と王貞治の“大騒動”の真相「俺、王さんに当たられた唯一の男です(笑)」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byNaoya Sanuki
posted2026/08/07 06:01
打力に秀でた城島(左)を一塁やDHにという案もあったが、王(右)はあくまで城島を捕手として使い続けた。王を師と慕う城島が若き日に巻き起こした「騒動」とは
ただ、守備の負担が大きいポジションゆえに、城島の長所でもある「打」をより生かそうと、球団内で一塁やDHへのコンバートを進言する声も上がった。しかし、王が「絶対にダメだ」と頑として認めなかったことを、城島は後に当時のコーチたちから聞かされたという。
「今考えると、キャッチャーとしては重い言葉であり、監督の覚悟ですよね」
プロの世界は、経験と実績がモノを言う。試合になれば、先輩も後輩も関係ないとはいっても、百戦錬磨のベテランが、21歳の若手捕手のサインに簡単にうなずくはずもない。工藤公康は城島のサインにマウンド上で首を捻り「それでいくのか?」と言わんばかりの不満顔のまま、城島のサイン通りに投げ、ホームランを打たれた。そのシーンはYouTubeでも、いまだに見られる。
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武田一浩にも何度もサインに首を振られたといい、城島はそのベテランたちに試合後、なぜ打たれたのか、どこがダメだったのか、とことんまで食い下がって、そのリードの良し悪しを突き詰め、質問を繰り返した。
王と城島の大騒動
王にも遠慮なく自説をぶつけ、時には試合中のベンチ内で口論にもなった。
「話、終わってなかったけど、打席やから『ちょっと打席に行ってきます』ってイライラしながら打席に行って、アウトになって、くそっ、とか思いながらまたベンチへ戻って来て、みたいなね。試合後も、どうせ呼ばれるんだったら自分から行ってやろうと思って、呼ばれる前に監督室に乗り込みましたよ。スラパン(※ユニホームの下に穿くトランクス型のスライディングパンツ)一丁の監督と、膝突き合わせて何度も話しましたよ」
その“激突”が思わぬ形でエスカレートし、大騒動を巻き起こしたことがあった。
1998年、夏のある試合中のことだった。
左ひざの靱帯を痛めていた城島が「座ることもできないくらい」に痛みが悪化した。だから、先発投手が交代したタイミングで城島もベンチに下がることになった。

