博多の人・王貞治BACK NUMBER
「お前、監督の椅子を蹴るとは!」「蹴ってないですよ!」ホークス城島健司と王貞治の“大騒動”の真相「俺、王さんに当たられた唯一の男です(笑)」
posted2026/08/07 06:01
打力に秀でた城島(左)を一塁やDHにという案もあったが、王(右)はあくまで城島を捕手として使い続けた。王を師と慕う城島が若き日に巻き起こした「騒動」とは
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph by
Naoya Sanuki
王ダイエーは、1998年の最終盤に「優勝」のチャンスを目の前にしていた。
残り5試合に全勝すれば、他球団の結果次第では優勝の可能性があった。その年、67勝67敗1分けの勝率5割で終えたダイエーだが、最後の5試合をすべて勝っていれば72勝62敗1分け、勝率.537。その年優勝した西武は勝率.534で、しかもダイエーの最終戦の相手は西武だったから、すべて勝てば優勝できていたのだ。
しかし、そこで5連敗。マスク越しに、城島は悔しさとともに、なぜかしら手応えのようなものも掴んだ感覚があったのだと振り返る。
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「僕、その最後の5試合もすべてマスクをかぶったんですけど、1勝もできなかった。もちろん、勝てなかった実力のなさをまざまざと感じさせられたのもあるんですが、135試合戦って、残り5試合まで優勝を争えたチームというのは、なんか、あれっ? 俺たち、そんなに優勝って遠くないんじゃないか、とも思ったんです。
5連敗してすぐの時は、めちゃめちゃ落ち込んだんです。俺ら、何もできんやったやん、みたいな感じやったんですけど、落ち込むだけ落ち込んだ後、ふと、そんな遠くないぞ。そんな気になった98年だったんです」
優勝のために、お前を使う
プロ3年目の1997年。その前年にウエスタン・リーグの当時新記録となる25本塁打を放ち、強打の大型捕手としての片鱗を見せていた城島を「レギュラー」で使うという決断を、王は開幕前、城島に告げた。
「お前を使うということは、チームを優勝させるためだ。優勝するために、お前がマスクをかぶるんだ」
強いチームには、信頼できる捕手がいる。

