テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「オオタニはずっと親切なんだ」ドジャース大谷翔平と“同学年”苦悩スコットがニコニコ、米国人記者は「本塁打王の評価…人によって違うよね」
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byStephen Brashear/Getty Images
posted2025/10/06 11:03
シーズン55本塁打をマークした大谷翔平。同学年の抑えやLA番記者が語った素顔と評価とは
本塁打王が懸かっただけでなく、三塁打ならエンゼルス時代の2019年6月13日のレイズ戦以来2度目のサイクル安打達成だった9回の最終打席は空振り三振。試合後は地元中継局のインタビューのみに応じ「ポストシーズンのため、いい感覚を持って終わりたいと思っていた。そういう意味では、3つヒットも打って、いい感覚でポストシーズンを迎えられる」と声を弾ませた。
この時、私は前日27日の試合前に行われたデーブ・ロバーツ監督の囲み取材を思い出していた。大谷の今季4度目のベンチスタートが発表され、私は「代打待機もしないですか?」と質問。ロバーツ監督の「代打でも準備しない。完全な休養日だ」という答えを聞き、さらに「大谷は本塁打王争いを気にしていないですか?」と質問を重ねた。
すると、ロバーツ監督はキョトンとしてこう話した。
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「What homerun race?(何の本塁打王争い?)」
その後、私が残り2試合でシーズン本塁打数がフィリーズのシュワーバーと2本差の2位であることを説明すると、「彼は気にしてない。MVPになるだろうし」と淡々と話した。
LAタイムズの米国人記者「本塁打王の評価は人による」
私は米国人記者から「監督に“何の本塁打王争い?”って言われてたな」と笑ってイジられたが、やや納得がいかなかったのも事実。すぐに日本語と英語とスペイン語が話せるロサンゼルス・タイムズ紙のディラン・ヘルナンデス記者に見解を求めると、こんな答えが返ってきた。
「本塁打王の評価は人によるよね。2012年にミゲル・カブレラ(元タイガース)が三冠王を獲った時、トラウト(エンゼルス)がMVPを獲るべきという人もいた。ただ、(NBAブルズを6度優勝に導いた)マイケル・ジョーダン以来、米国のアスリートがチームのタイトルで評価される傾向があるのは確かだから」
大谷、指揮官とも“最優先はワールドシリーズ連覇”で思いは一致。「あの欠場がなければ、あと1本打ったかも」と思ってしまう自分が少し恥ずかしかった。あの欠場があったからこそ、自己最多&球団記録を更新する55号が打てたのかもしれない。〈つづく〉

