テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「オオタニは偉大な才能だけど…」“元二刀流の161キロ”の闘志をドジャース大谷翔平は打ち砕いた「しっかりと良いスイング」珍しく自賛した日
posted2025/10/08 11:02
始まったドジャースと大谷翔平のポストシーズン。テレビに映らない舞台裏はどうなっているか
text by

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Nicole Vasquez/Getty Images
《9月29日 前日練習》
《9月30日 ワイルドカードシリーズ第1戦レッズ戦 ◯10-5》
《10月1日 ワイルドカードシリーズ第2戦レッズ戦 ◯8-4》
PS仕様の「BUILT FOR FALL」
「BUILT FOR FALL」(秋のために積み上げてきた)。
今年のポストシーズン(PS)のキャッチフレーズで各球団の選手、スタッフ、首脳陣が着用するPS仕様のTシャツやパーカーの胸に記されているフレーズ。ワイルドカードシリーズ(WCS)開幕前日練習のこの日はチームストアでも多くのPSグッズが並んでいた。
ADVERTISEMENT
どうやら誰もが分かるような一般的なフレーズではないらしい。現地の女性ファンが店員に「これはどういう意味?」と聞いて、店員が「10月はPSの時期。限られた球団しかプレーできない季節だから」と熱弁し、女性は「なるほど!」と納得していた。
プロアマ問わず米国のスポーツ界はこういう“言葉”でイベントを盛り上げるのが上手い。昨年のPSでは「OCTOBER READY」(10月のために準備はできた)というキャッチフレーズが使われていた。グラウンドやベンチ、そして大型ビジョンでも「POST SEASON 2025」のロゴが描かれ、大一番を盛り上げていた。
ワールドシリーズ(WS)を制してから1年。今年も地区優勝したがナ・リーグ勝率3位のため、WCSから始まる長丁場の戦いとなる。今年はワールドシリーズ制覇まで昨年より2つ多い13勝が必要となる。
敵将も「世代を代表する選手」
PSの取材も特別だ。レギュラーシーズン中は試合前後に両球団のクラブハウスがオープンし取材機会が設けられるが、PSは試合後のみ。試合前後に球団やMLBが主要選手や監督の会見を必ずセッティングし、挙手制で質疑応答を行うのがしきたりとなっている。しかも、その一問一答全文はインターネット上で公開され、誰でも閲覧可能。YouTubeでも全動画が公開される。
報道の差別化を図る上では、記者泣かせの状況ではある。だが“常識の範囲”、“互いの相互理解”があれば、練習前後のグラウンドで選手にマンツーマンで話を聞くことは可能。マンツーマン取材が禁止されている「大谷を除く」という注釈が付くが、そうやって日米問わず各メディアが日々独自のニュースをお茶の間のファンに届けようと奮闘している。

