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「え? ジャイアンツじゃん」斎藤雅樹を“平成の大エース”に導いた運命の選択「中日入り確実」が急転…ドラフト直前に現れた“ナゾの新聞記者” 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2025/05/02 17:01

「え? ジャイアンツじゃん」斎藤雅樹を“平成の大エース”に導いた運命の選択「中日入り確実」が急転…ドラフト直前に現れた“ナゾの新聞記者”<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

数々の記録を打ち立てた「平成の大エース」巨人・斎藤雅樹

 早大以外にもいくつかの大学から誘いはあったが、それには目もくれず、プロに行けなかったときには就職して社会人野球でプレーを続ける手筈を整えて運命のドラフトを待った。

「新聞記者」の正体は…

 ドラフト直前まで一番熱心だったのは中日だった。ただ、唯一、斎藤が直接会ったのは巨人のスカウトの堀江忠一だけだった。

「それまでプロのスカウトがみえても全部、内山監督が対応してくれて、僕は一切会っていなかったんです。それがあるとき取材があると新聞記者の人が訪ねてきて、学校で1対1で会ったんですね。そうしたらいきなりパッとジャイアンツの名刺を出されて、僕は『エッ、ジャイアンツだ!』って。何の話をしたかは全然、覚えていないんですけど、多分、堀江さんは僕が本当にプロに行く気があるかどうかを確認しに来たんだと思います。僕も『プロに行きたいです』って答えた。それでジャイアンツは『こいつは指名しても断られないな』と思ったんじゃないですか」

「中日入り」のはずが…運命のイタズラ

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 一番熱心だった中日は指名を約束して、その後に内山監督、両親とも面談している。斎藤も「何位でもいいです」と伝えて中日入りで心は決まったようなものだった。

 だが蓋を開けると、巨人が1位指名で交渉権を獲得した。巨人は荒木、中日は立教大学のサウスポー・野口裕美投手をそれぞれ1位で入札したが、いずれもくじ引きで外れてしまった。そして外れ1位はウエーバー順である。優勝した中日より、2位の巨人の指名順が先だったのだ。そんな運命のイタズラで“平成の大エース”はプロ野球選手としての一歩を、巨人で踏み出すことになった。

 そうして将来を嘱望される本格派投手としてプロ野球人生は始まったが、斎藤はプロ1年目に否が応でも次なる変貌を強いられることになったのである。〈つづく〉

#2に続く
「自信をなくしていたんです…」巨人伝説のエースが初めて語った「空白の3年間」自ら持ちかけた“野手転向”の真相〈斎藤雅樹インタビュー〉
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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