テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

「え、大谷翔平のHRボールに無関心?」番記者が見た“ショウヘイとドジャース宿敵ファン”のリアルな距離感「試合前、生オオタニには人だかり」 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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photograph byLachlan Cunningham/Getty Images

posted2024/07/12 17:03

「え、大谷翔平のHRボールに無関心?」番記者が見た“ショウヘイとドジャース宿敵ファン”のリアルな距離感「試合前、生オオタニには人だかり」<Number Web> photograph by Lachlan Cunningham/Getty Images

ジャイアンツ戦での大谷翔平。ライバル意識が高い敵地サンフランシスコでも、さわやかな青空のもとで、この表情

 これに対して大谷は「あ!?」と声を発して笑ったが、野球記者歴22年の同記者は冗談交じりに日本語で「ナメンナヨ!」と畳みかけた。

 これに対して大谷は……いたずらっぽく笑いながら「It's Japanese bad word.(それは日本の悪い言葉だ)」と一蹴。着替え終わった大谷は最後に報道陣に「See you guys!(みんなまたね)」と英語であいさつし、帰路に就いた。

キャッチボールが当たりそうになった子供にサインを

《6月30日 ジャイアンツ戦(サンフランシスコ) ●4―10》

 3連戦最終日はデーゲーム。サンフランシスコの夏は全米屈指の涼しさと言われるが、照りつける太陽はさすが夏を感じさせた。「中1日」でキャッチボールを行う大谷がグラウンドに現れると、敵地にも関わらずスタンドから大歓声。ガラス越しの本塁打球には関心はないが、キャッチボールを行う“生大谷”を一目見ようと、右翼席や一塁側のポール際周辺には人だかりができていた。

 途中、空に〈JESS-Will you marry me?-BOB(ジェス、結婚してくれませんか? ボブより)〉と記した横断幕を引っ張って飛んでいる飛行機を見上げ、笑みを浮かべる場面もあった。

 高めに抜けてキャッチボール相手が捕れなかった球がジャイアンツファンの子供に当たりそうになったこともあったが、キャッチボール後にその子の元へ向かいボールにサインをしてプレゼント。粋なファンサービスだった。

 試合は5試合ぶりの無安打。3、5、9回と2死二塁で3度回ってきながら全て空振り三振に倒れ、今季4度目の3三振。出塁なしも15試合ぶりだった。6月最終戦は不発だったが、12本塁打、24打点はともにリーグトップで、打率.293。21、23年に月間MVPを獲得していただけに「好相性の6月に期待」とメディアは盛んに報じていたが、信じていた方はどれほどいただろうか。

ホームラン競争のルール変更のスピードに驚くばかり

 この日は大リーグ機構(MLB)がオールスター戦前日の15日(日本時間16日)に開催する本塁打競争のルール変更を発表した。

 出場選手の負担軽減を目的に球数制限を設け、1回戦は延長戦を行わないという。昨年までのルールは選手の負担が大きく、スター選手が出場を辞退するケースも続いていた。(この時点では)態度を保留している大谷と球団の判断に変化は出るだろうか。

 ジャッジだけでなく大谷も辞退されるのは避けたい。そんな思惑があったかどうかは定かではないが、内容の是非はさておき、こういう時のメジャーリーグ、米国のプロスポーツ組織の動きの早さには驚くしかない。
<つづく>

#4に続く
「父もショウヘイの大ファン」大谷翔平が1年前の球宴でくれたバットを…対戦相手とロバーツ監督のウラ話「ジョーダンやウッズのようだ」

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