テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「え、大谷翔平のHRボールに無関心?」番記者が見た“ショウヘイとドジャース宿敵ファン”のリアルな距離感「試合前、生オオタニには人だかり」
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byLachlan Cunningham/Getty Images
posted2024/07/12 17:03
ジャイアンツ戦での大谷翔平。ライバル意識が高い敵地サンフランシスコでも、さわやかな青空のもとで、この表情
この日、大谷は史上4人目の3試合連続先頭打者本塁打を逃し、球団記録更新中だった連続試合打点は10、連勝も4で止まった。
初回は3球三振、3回は遊ゴロ。2打席のうち4球が、大リーグ公式サイトがボールとした球をストライクと判定された。デーブ・ロバーツ監督は「ボールがよく動き、攻略は難しかった」としたが、2年目のエドウィン・ヒメネス審判員のコールを現地中継も「際どくすらない」と酷評した。スタンドには「Beat LA!(ドジャースをやっつけろ)」のコールが何度も響き渡った。同地区のライバル対決。サンフランシスコは野球熱もメジャー屈指だった。
大谷のHRボールに…敵地SFは関心なし?
《6月29日 VSジャイアンツ(サンフランシスコ)◯14―7》
大谷は同点の3回にバックスクリーンに26号ソロを叩き込んだ。いつもファンがゲットするために殺到する大谷の本塁打球はバックスクリーンのネット上で弾み、ジャイアンツ側の無人のブルペンへ落下。ブルペンの真裏は一般客が利用できるダイニングバーだ。記者席を飛び出して現場へ向かうと、大谷の本塁打球は誰の手にも渡ることなくガラス越しに無造作に転がっていた。
担当警備員は「複数のバーの客がボールを欲しがったが私には権限がないのでどうすることもできない」と困り顔。7、8人の男女のグループでダイニングバーを利用中のジャイアンツファンも「本塁打球をもらったら売らずに家に飾りたかったけど仕方ないね」と嘆いていたが、多くのジャイアンツファンがガラス越しに転がる大谷のボールに関心を示さない様子は、大谷がスーパースターへの階段を上り始めてからはなかなか見ない光景だ。
日本であれば十重二十重の人だかりができ、スマートフォンのシャッター音が響き渡っていたに違いない。
現地紙記者に日本語でイジられた大谷の返しは…
試合後の大谷もまた、“らしさ”全開だった。
チーム今季最長の3時間45分を戦い終えたクラブハウス。セキュリティー担当から「あと2分でバスが出発する」と告げられると、大谷は急いでロッカーで着替え始めた。
すると、その様子を見ていた地元紙オレンジカウンティー・レジスターのドジャース担当ビル・プランケット記者が日本語で「ハヤク! モットハヤク!」と急かした。