テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
大谷翔平30歳誕生日も「彼は盛大なお祝いを好まない」骨折ベッツ守備練習に「うわっ!」カーショーのカーブ…ドジャースの“中継に映らない凄み”
posted2024/07/19 17:02
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Harry How/Getty Images
“骨折しているはず”のベッツが守備練習
《7月4日 VSダイヤモンドバックス (ドジャースタジアム) ●3−9》
試合開始2時間前の午後4時頃。左手骨折中の遊撃手ベッツがゴロを捕球する動き、中継に入る動きをシャドーで行い、スローイング練習を再開していた。
レッドソックス時代の2018年にMVPを受賞し、ドジャース移籍後も“チームの顔”として奮闘するが驕りや慢心は全く見えない。今季から遊撃手にコンバート。負傷前から誰よりグラウンドで練習する姿を見せていたが、今できることを全力でやる姿には頭が下がる思いだ。
大谷は162試合を乗り切るためのリカバリーやコンディションを優先して試合前練習でグラウンドに出てくることは今季まだ一度もないが、ベッツは真逆のタイプ。善し悪しはなく、様々なタイプの選手がいると改めて勉強になる。
20代最後の1日に残した“節目の数字”とは
この日もドジャースの練習を取材した後は、ダイヤモンドバックスの練習を見て、トーリ・ロブロ監督に取材を敢行した。
オールスター戦でナ・リーグの監督が決まっているロブロ監督は現役時代にヤクルトでのプレー経験があり、日本とも縁のある監督だ。
球宴本番での大谷の打順についての考えを聞くと「大谷には“Top Of The Lineup”を任せる。ナ・リーグで最高の選手たちが集まるが、そうなると思う」と明言。“Top Of The Lineup”はドジャースでも務める1番のことかと思って、社内に報告しようと思ったが、念のため同僚の英語の熟練者に確認すると、「1~3番打者」の意味とのことだった。危うく誤報するところだったのは、ここだけの話だ。
「フォース・オブ・ジュライ」と呼ばれる7月4日は、米国独立記念日だった。星条旗模様が入ったオフホワイトの特別キャップをかぶった大谷にとっては、20代最後の1日。快音こそ響かなかったが、節目の数字をマークした。
初回、四球を選ぶと、続くT・ヘルナンデスの右前打で二塁へ。2死後、ヘイワードの打席でスタートを切り、悠々と滑り込んで三盗を成功させた。6月17日以来出場14試合ぶり、今季17個目の盗塁。並んでいた松井稼頭央を抜き日本選手単独2位となる、通算103盗塁目だった。
30歳誕生日、ラックスの「アイラブユー」
《7月5日 VSブルワーズ(ドジャースタジアム) ◯8−5》
練習前のドジャースのクラブハウス。内野手のラックスが30歳の誕生日を迎えた大谷に何か笑顔で話しかけ、大谷が親指を立てるサムアップポーズで応えている場面に遭遇した。