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立浪和義への批判は“本当に妥当”か? 中日ファン待望の監督就任、助っ人の亡命、悩む得点力…森繁和の見解「記者の口車に乗せられてはダメ」
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byJIJI PRESS
posted2024/01/11 11:00
勝負の3年目を迎える中日・立浪和義監督
その後、草加に対する印象を訊ねられた立浪は「実際に見ていない」と正直に告白してしまい、それをメディアが一斉に報じ、ファンの不興を買った。本当はそのあとに「非常にスタミナがあり、完投能力があると聞いている」と続けているのだが……。成績さえ良ければ取り立てて報道されることもなかっただろう。
2年目オフ「中田翔、上林誠知らを獲得」
オフには巨人を戦力外となった中島宏之を来季の代打要員として獲得し、同じくソフトバンクを戦力外となった上林誠知とも契約。オプトアウト権を行使して巨人を退団した中田翔も獲得した。
2年連続最下位のチームにあって、岡林勇希や髙橋宏斗ら若手の成長は明るい話題であり、細川の24本塁打も期待以上の活躍だった。だが、再建中の状況にあっても、勝てない状況がつづけば批判されてしまう。加えて、本来ならば内部の人間しか知らないことが外部に漏れ、令和の米騒動などと揶揄されてしまう始末だ。森が続ける。
「仙さん(星野仙一監督)の時代には記者と監督の間にも信頼関係があり、口を滑らせてしまっても記者が気を遣って書かないこともあった。ところが現在は、『書くな!』と言っても書くし、『書いてくれ』とお願いしたら余計に面白おかしく書くし(笑)。だからこそ私も落合監督も、報道陣に余計なことは話さなかった。記者の口車に乗せられてはダメなんだ。選手のことを褒めるならまだしも、選手の奥さんや家族のことを考えれば批判することは絶対にできなかった」
現役時代に2480本の安打を放ち、487本という日本プロ野球で最多の二塁打記録を持つ立浪は、就任以来行ってきた再建を成功に導き、チームを浮上させられるだろうか。今一度、立浪和義という野球人の原点を探り、中日を率いた2年間を改めて検証し、契約最終年とされる2024年シーズンに向けた光明を見出してゆく。
〈つづく〉